【2】8月の上旬
まだ8月は暑い。
私と葵は補習を受けに来ていた。
この補習が終わると次の日からは葵との旅行になる。
なんだか、つまらない補習も早く感じるよ。
「じゃあ、ここまで。課題は始めの講座で提出。以上!」
そう言って、講師は机に大量のプリントの束を置いて講座室から出て行く。
その後から生徒がプリントを手に取り流れるように講座室から出て行った。
講座室にいるのは茜と葵。
「つっかれたぁ〜!」
「茜、ほとんど寝てなかった?」
「き、気のせいだよ」
言えない。
起きてたのは最初と最後の10分だけだなんて。
講座は約80分。
つまり、1時間20分は一つの授業を受けていることになる。
だいたい4時間授業。
「旅行は明日なんだし、体休めといたら?」
「葵はどうするの?」
「科学の講師に質問があるの。後、レポート提出も」
「そっか、先に帰るね」
「ごめんね。明日は10時に駅、集合よ」
「おっけぃ」
そう言って私は鞄とプリントを持って講座室から出た。
明日の旅行を楽しみにしながら。
しかし、その旅行が悲惨なものに変わるなんてことの時はまだ知らなかった。
だって楽しみで浮かれていたから。
次の日、私は20分前に駅に着いていた。
葵はまだ来ていない。
早すぎたみたいだ。
「ちょっと早かったかな」
昨日のプリントはほかりっぱなし。
あんな沢山のプリントを2週間で終わらせれる訳がない。
「茜、遅くなってごめんね」
「待ってないから大丈夫」
「行こっか?」
「専用の観光バスに乗るんだっけ?」
「そうだよ」
その場所までは専用の観光バスが通ってるらしい。
こちらからすれば、ありがたい。
交通費は殆ど無料に近い。学生にとってこれは嬉しいこと。
「楽しみだね、葵♪」
「ふふっ、・・・そうね」
恐ろしいことが始まるとは知らず、私たちはバスに乗り込んだ。