異世界でもやっぱり負け組!!!
とりあえず、状況を整理しよう。朝教室入って、授業を受けようとしたら、いきなり教室が光って異世界に来ちゃいましたと... マジかよ!!! ついに神は俺の願いを聞いてくれたのか!!!
「ようこそ、おいでくださいました、異界の勇者様達」
そこには金髪の絶世の美少女がいた。見るからにお姫様なのだろうな。
「えっと、あなたは?」
四ノ宮がそう聞くと、
「申し遅れました、私はシャルリーナ・ラクターナと申します。ここ、ラクターナ王国の第一王女です」
「俺の名前は四ノ宮海斗です。俺たちはどうしてここに?」
「それは私達があなた達を呼んだからです。異界の勇者として。あなた方には勇者として、魔王と戦って頂きたいのです。今、人間族は魔族と交戦状態に入ろうとしているのです。ですが、魔族には魔王という協力な王が存在しております。このままでは、人間は魔族によって滅ぼされてしまいます。だから、特殊な能力を持ったあなた方に助けを求めたのです。身勝手な話極まりないですが、お願いします。私達人間族のために戦っては貰えませんか?」
実際身勝手な話だ。いきなり連れてこられて魔族と戦えってのはどうかと思う。ま、どうせそんな事考えても、うちのイケメンは正義感が強いから受けちゃうんだろうな。テンプレ通りだよ。
「今のところは帰ることは出来ないんですか?」
「申し訳ございません。召喚は一方通行のようで、元の世界には...」
「・・・分かりました。なら俺はやるよ勇者」
「え!海斗やるの? 危ないよ!!!」
「この世界の人達の危機を聞いた以上、黙って見過ごせないよ」
うわ、めっちゃ臭いセリフだな。まぁテンプレはこんなもんかな。先に言っとく。アイツ絶対勇者だわ!!!
「海斗がやるなら俺もやるよ。お前だけってのは頼りないしな」
「俺もやろう。こういう時に剣道は役に立つしな!!!」
「四ノ宮がやるなら」「私も」「私も...」
「あ、ありがとうございます!!!皆様」
俺のような空気に拒否権はないからな、やるしかないか。よし、このあとはお馴染みの天職が分かるぞー!!!
「それでも俺たちに戦う力はないですよ」
「大丈夫です。ステータスを確認するとあなた方の天職と才能が分かりますから」
「天職?」
「それは俺から説明しよう」
そう言ってきたのは、屈強そうな騎士であった。
「あなたは?」
「俺はラクターナ王国の近衛騎士団長、レガシィ・モールスだ。お前達をちゃんと前線で戦えるようにするための教育係ってことだ」
なんだろう、テンプレのRPGを見ている感じで、ゲーム感覚が止まらないんだが...
「それじゃあお前達、手を前にかざしてステータスと言ってみろ。そうすれば自分のステータスが見れる」
「そ、それじゃあ俺から、『ステータス』 うわ!!!」
四ノ宮がステータスと言うと目の前に画面みたいなのが出現した。それに載っていたのは...
四ノ宮海斗(17)
レベル:1
天職 :聖剣の勇者
筋力:400
敏捷:500
魔力:300
知性:300
幸運:1000
才能:光魔法、身体強化(全ステータス対象)、言語理解
US:ホープスラッシュ、???、???、???、???
「平均は全て10〜20なんだがな、まさか伝説の聖剣に選ばれた勇者とはな」
ほら、予想通りだよちくしょうめ。
「あの、USってなんですか?」
「それはユニークスキルのことだ。才能は魔力を消費せずとも使えるそのものの得意とする力だ。ユニークスキルは才能とは別で、魔力を消費するが、自分しか使えないオリジナルの力のことだ。普通の人間には一個で、解放するにはレベルを上げないといけないんだ。レベルは最大で人によってだが100だ。まぁUSを解放出来る奴なんてほんの一握りなんだがな。流石は勇者だ!!!」
「よし、次は俺!!! 『ステータス』」
天堂和也(17)
レベル:1
天職:魔剣の勇者
筋力:345
敏捷:550
魔力:300
知性:300
幸運:1000
才能:闇魔法、身体強化(全ステータス対象)、言語理解
US:ナイトメアスラッシュ、???、???、???、??
?
「お前もか!!! こいつらには期待出来るな!!!」
勇者って二人もいんのかよ...
その後、クラスメイトは各々のステータスを確認
していったのだが、四ノ宮のリア充グループは全員チートクラス、カーストが低くなっていくごとに非戦闘系が多くなっていた。そして俺はというと...
白野翔希(17)
レベル:1
天職:なし
筋力:8
敏捷:12
魔力:0
知性:100
幸運:-10000
才能:言語理解
US:???()、???、???
「・・・・・・・・・・・・・は?」
え?何これ、こういう時って、あまり使えない非戦闘系でも、奈落イベントとかで最強になるっていう感じじゃないの?というか幸運値が逆に天元突破してるんですけど。え?このステータスじゃただの...
「た、ただの一般市民だな。それどころか幸運がとんでもないことになってるぞ」
苦笑いされた。いやいや、マジでこれ市民じゃん。いや、まだUSがある、ん?解放条件がある。見てみよう!!!
US:???(解放条件:努力しましょう)、???、???
え、扱いひど。なんだよ努力って。え?マジでこれなの?異世界来てまで努力しろってのかよ。異世界での俺TUEEEEはどこいっちゃったんだよ神様ょ!!!これなんて無理ゲーだよ、才能なしで魔王と戦えって鬼畜過ぎ!!!
「...お前もとりあえず訓練は受けておけ」
「は、はい...」
こうして俺の無理ゲー異世界冒険が始まってしまった。俺はこの異世界で生きて帰れるのか心配で仕方ないよ。特に幸運値のせいで...
「とりあえず、昼食に致しましょう。訓練はその後にしましょう。歓迎いたします!!!」
「やったー」「腹減ったわ」
え?このあとに訓練あんの?もうやだ、クラスメイトのチート見せつけられるとか生殺しにほかならないっての。
「ほら白野君、元気出しなよ。なんかあったら私が守ってあげるから!」
北条さんからこんな慰めをもらったのだが、
「女子に守ってもらう俺っていったい...」
「別に女の子でも守れるから、あんまり気にしない方がいいよ」
「はぁー、もうやだ...」
昼食時は散々だった。クラスカースト二軍のメンバーである吉村達に散々からかわれ、しまいには、非戦闘系スキルの奴らにも「プ、才能なしとかwww」とか、笑われたし、ふざけんなよ、ってなった。でも才能がないから言い返せないし仕方ないんだよな〜(悟り)。よし、もうくよくよしないぞ。努力しろってあるんだから努力してやろうじゃないの!!!
そういう思いを胸に俺は訓練に挑んだのだが...
「どうした翔希!!! もう動けないのか。情けないぞ!!! 腕立てあと10万回追加だ!!!」
といったスパルタ教育を受けていた。ちょっと考えて市民と同レベルの俺にそんなハードなことさせたら死んじゃうでしょ、あんたは脳筋かー!!!という感じで一日中腕立てで終わらされた。他の奴らはもちろん他の訓練を受けてたのに、俺だけ扱いが酷すぎ!!!
次の日
当たり前に筋肉痛になりました。なんで異世界で筋肉痛なんかになってんだか。みんなは昨日よりも元気だし。あ、先生はなんか気分が下がってるな。そういえば、ステータスはどうなったんだろう?
レベル:1→2
筋力:8→9
あんだけ筋トレしてもこれだけとは... 俺は勇者にいつ追いつけるんだろうか...
「あの、レガシィ団長、今日は筋肉痛で訓練どころじゃ...」
「何?甘ったれるな翔希!!! お前は人一倍努力しないと強くなれないんだぞ!!!そら今日は剣の素振り10万回だ!!!」
「マジで馬鹿なんじゃないのー!!!」
今日も肉体と心を虐め抜かれた。デモ、オレ、マケナイ(泣)
それから一週間はずっとこんな調子でやっていたのだ。そして今日は...
「今日はここまでだ。明日からはダンジョンに入っての実戦訓練を行う、実戦訓練は通常の訓練と違って危険がつきものだ。しっかりと心を引き締めておけ!!!」
遂に明日から実戦訓練が始まる。大抵こういう時に俺みたいな無能者に理不尽イベントが起きてチートになれると思うのだが...
「それはそうと、翔希は待機だぞ」
「え?待機!!!」
「当たり前だ。才能もスキルもないお前じゃ死にに行くようなものだからな。お前が実戦で使えると俺が判断しない限りはここで訓練だ」
「は、はぁ」
俺の理不尽イベントはこんなのだった...
(ってことはこいつらがダンジョンにいる間、何してようかな。やっと地獄みたいな訓練から一時的に解放されるし。でもチートになって無双したかった...)
そんなことを考えながら俺は自分が死ぬかもしれないフラグを回避したのであった...
明日香Side
明日はダンジョンでの実戦訓練か。はぁ、本当にどうしてこんなことになっちゃったんだろう。昨日まではいつも通りの日常だったのに、いきなりこんなことになっちゃって。とばされてそうそう、世界を救う戦いをしてくれって、海斗も和也ものっちゃってるし、幾らすごい力を手に入れられたからって世界なんてそう簡単に助けられないのを分かってるのかしら。それに私が一番気がかりなのは能力がない白野君よ。彼には全く力がないどころか、普通の市民と変わらないのに、団長は前線出そうとしてる。非戦闘系の力の子たちはサポートってことで、それにあった訓練をしてるのに、なんで彼だけ、私達と戦闘系と同じ訓練をさせるのかが、凄く気に入らない。彩葉も優花もそれをおもってるみたい。彩葉なんて見てられないって言ってるのに、もちろん私もこれ以上彼に危険なことをして欲しくない。でも、海斗も和也も健太も「あいつは人一倍努力しないといけないんだし、しょうがないさ」とか言うし、今回の実戦訓練には参加しなかったことは幸いだったけどいつ彼が実戦に参加するか分からないから気が気じゃないわ。あぁもう、こんなこと考えてたら寝れなくなっちゃった。水でも飲んでこよ。
そうして私は気分転換に外にでようとしたのだが、そこでひとつの動く影を見つけた。ものすごく怖いけど気になって追いかけることにした。そこで私が目にしたのは...
「ブンブン、なんか違うんだよな、北条とか飯田のを見様見真似してもなんかひっかかるんだよな?ってか重い」
(なんで白野君がいるんだろう、それに剣なんか持って素振りして、明日の実戦訓練には行かないのにどうして...)
私としては彼にはもう剣などの武器を持って欲しくない。持ってしまったら必ず戦わなきゃいけなくなるから、そうなったら才能のない彼はすぐに死んじゃうから。そんなの見たくないから。
(あれ?私って白野君のこと好きなのかな...いやいや、そういう訳じゃないよね。なんて言うか、私としては、彩葉が気にかけてる彼には、ただ死んで欲しくないって思うんだよね。もしそうなっちゃったら彩葉が悲しむからね。親友の気になる人を好きになるのはまずいよね...でもああやって、誰にも見られないところでも努力出来る男の子ってかっこいいな.....)
「はぁ、こんなんやって、いつアイツらに追いつくのやら。はぁー」
私は柄にもなく胸をときめかせながら部屋に戻って寝ることにした。
(そうよ、気になってるのと好きは違うよね。あぁ、でもやっぱりだめだめ。彩葉と恋敵とかにはなりたくないし、で、でもこんなこと考えてること事態がだめだよね。い、一応、私だって白野君のことはあの時から気になっ...あぁ考えただけで変になりそう。こういう事は初めてだし、親友との三角関係とこ昼ドラみたいになっちゃうじゃない!!!)
私は彼のことを地球にいた時から気になっていた。もちろん一目惚れとかじゃない。見た目とかだったら普通の男の子だし。親友の彩葉が楽しそうに話しているのを見て、彼がどんな人なのかを知るために話しかけたのが始まりだった。話してみるとオタクではあったけど好きなことには一生懸命で、いろんなことを知っていて、私とも剣道の話とかで盛り上がれるような男の子だった。そしてあのことがあってから彼のことを気になっていた。そんな矢先にこんなことになっちゃったけど、彼は全く変わらずに努力してる。多分私達の足を引っ張りたくはないからとか言って剣を振ってたんだろうなって私は思う。そんな誰にも迷惑かけないようにして、見えないところで努力してるところがたまらなく...になってしまったのかもしれないな...
(実戦訓練が終わったら、彩葉とちゃんと話そう。彼のことについて、ちゃんと気持ちを決めておこう...)
そう私は決心して、ゆっくりと寝ることにした。
明日香Sideout
「ふぅー、疲れた。今日はもう寝よ、っとその前にステータス確認しとこ!!!」
俺はそう言ってステータスを開いた。
白野翔希(17)
レベル:7
天職:なし
筋力:16
敏捷:20
魔力:0
知性:105
幸運:-10000
才能:言語理解、剣術(仮)
US:努力は身を結ぶ、???、???
「あれ?US解放されてる!!! それに才能にもなんかある!!!やったー!!! えっとなになに」
努力は身を結ぶ:努力した力は必ず手に入る
「ってことは、やればやっただけ手に入るってことかな?だから剣術っていう能力が手に入ってるのか。でも(仮)だもんな、もう少しやれってことか...大変なUSだこと」
一応勇者達のステータスはこれだ、
四ノ宮海斗(17)
レベル:7
天職:聖剣の勇者
筋力:960
敏捷:880
魔力:590
知力:300
幸運:1200
才能:光魔法、身体強化、全属性耐性、全状態異常耐性、言語理解
US:ホープスラッシュ、聖なる加護、???、???、
???
天堂和也(17)
レベル:7
天職:魔剣の勇者
筋力:910
敏捷:980
魔力:700
知力:300
幸運:1200
才能:闇魔法、身体強化、全属性耐性、全状態異常耐性、言語理解
US:ナイトメアスラッシュ、魔気解放、???、???、
???
飯田健太(17)
レベル:7
天職:迅雷の剣士
筋力:850
敏捷:980
魔力:670
知力:310
幸運:1100
才能:雷魔法、剣術、身体強化、全状態異常耐性、言語理解
US:雷切、???、???、???
宮野優花(17)
レベル:7
天職:聖なる賢者
筋力:350
敏捷:590
魔力:1500
知力:310
幸運:1200
才能:光魔法、全魔法耐性、全状態異常耐性、言語理解
US:ホーリーグロリアス、???、???
北条明日香(17)
レベル:7
天職:疾風の剣士
筋力:600
敏捷:1400
魔力:680
知力:305
幸運:1060
才能:風魔法、剣術、身体強化、全状態異常耐性、言語理解
US:風切り、???、???
弦岡彩葉(17)
レベル:7
天職:氷結の弓手
筋力:750
敏捷:560
魔力:1000
知力:350
幸運:1100
才能:氷魔法、弓術、身体強化、全状態異常耐性、言語理解
US:絶対必中の一射、???、???
浦岡恵果(17)
レベル:7
天職:紅蓮の魔女
筋力:320
敏捷:420
魔力:1400
知力:280
幸運:1500
才能:炎魔法、炎進化、全状態異常耐性、言語理解
US:焔の咆哮、???、???
っという感じに、チートに磨きがかかっている。俺はこいつらに追いつくのに人生何回使わないといけないんだよ...