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4話

一人では歩くことがままならない状態のダークエンジェルに連れられやっとのことでたどり着いた先は、三階建ての廃れたビルだった。

「ここが私たちのアジトよ...」

「私たちって...俺はまだ悪を手伝うって言ったわけじゃないぞ。」

建物のなかに入ると、一階のロビーらしきところの本棚の一冊の本にダークエンジェルは手を伸ばした。本を奥に押した途端、本棚自体が動き、隠し扉になっていた。そこから地下へ通じる階段を下りると、ビルの外見から一変して、ピンクだらけの部屋に入った。壁紙、机、イス、パソコン、ベッド、ソファーどれをとってもピンクだった。紫晃はピンク一面に目をチカチカさせながらベッドのある方まで進むと、ダークエンジェルをベッドの上に座らせた。

 逃げるのに必死であまり気にも止めなかったが、改めてダークエンジェルの姿を見ると、マントはギザギザになり、黒のフリルの短いスカートも裾が破けており、そこから見える足からは数箇所怪我をして血が出ていた。毛先がくるっと巻かれた綺麗な長い黒髪は、ところどころ焼けてチリチリになっていた。そんな変わり果てた姿を目にして、何もできず、さらに彼女を傷つけてしまった罪悪感に、紫晃は思わず顔を歪めた。

「なーに怖い顔してるのよ。」

最初に口を開いたのはダースエンジェルだった。

「どうして、俺を巻き込んだんだ...俺さえいなかったら、あんたはこんなことにはならなかったはずだ。」

「どうしてって...あんたが一番悪そうな顔してるわよ。」

「顔で判断するな!顔で!!」

「鏡まで割らしてしまうほどの悪人面のくせに、通行人Aで通せるわけないでしょ...あはははっ、あんたホント顔によらず愉快な人ね!」

「顔は関係ねぇって!!!」

「・・・仕方ないわね。私の素顔を見せてあげる。これでおあいこよ。」

「・・・一体何に対するおあいこなんだよ。」

「あんたを巻き込んだからね。借りは返さなきゃ。」

ダークエンジェルは仮面を取ろうと、後頭部に手を伸ばし、仮面の紐を解こうとした。

「借りを返すなら、そんなことしなくていいから、俺を仲間にしないでくれ。」

そう言い終わる前に、既に紐は解かれていた。仮面の下に隠されていた素顔は...素顔は...

(可愛い...可愛いが...)

「・・・誰?」

「でしょうね。」

「・・・」

「・・・」

紫晃は無言で見つめたら、彼女も無言で見つめ返した。仮面で覆われていた部分以外はすすこけており、パッと見たら逆パンダだ。しかし、笑い返せないくらい紫晃は見とれてしまった。日本人離れした目鼻立ちに加え、白く透き通った肌、さらに深い青色をした瞳が紫晃を捉え、吸い込もうとしている。これでネーミングセンスがよかったら・・・と紫晃はどこでどう間違えてしまったのかをあれこれと考えていた。

「・・・何か言いなさいよ。」

「いや、てっきり有名人だと思った・・・」

「し、失礼ねっ!悪役は有名人じゃないとダメって誰が決めたのよ?」

「いや、借りを返すっていったのに対してこれは割に合わな、ふぐっ!?」

 先の尖ったブーツが紫晃の足の泣き所に衝突した。

「もっと現実をみなさいよ!」

「こっちのセリフだぁぁぁぁ!!!」

「いちいち声が大きいのよ!私の素顔を見てしまった以上、あんたはもう仲間なの。はい、わかった?」



 こうして紫晃はピュアブラックとなった。

 それは、9月13日金曜日のこと。


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