3話
「ミス・ダークエンジェル!!今日こそお前の悪を成敗してやろう!!」
そのホワイトの方のエンジェルは、白い軍服らしきものを身にまとい、仮面はしているものの、美男であることははっきりと感じさせるヒーローであった。ただ、ホワイトなんちゃらという名前を除いては…。
「ふっ…今日は一筋縄ではいかないわよ。新たに仲間に加わったこいつが相手よ!」
「えっ?俺?」
紫晃はまたも戸惑った。しかし、仮面をつけてしまっている以上は、通行人のふりさえもできない。
こうなってしまえば仕方ない。紫晃は恥を捨て、ありったけの声で叫んだ。
「そうだ、このピュアブラックによって、ホワイトなんちゃらを悪に葬ってやる。覚悟しろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
紫晃にとっては、自分自身が黒歴史の中に葬られた気分だった。
「くっ…なんて強そうなんだ…」
大声に圧倒されたホワイトエンジェルは、すぐさま鞘に収めていた剣をとり、紫晃向けた途端、剣から蒼白い光が出てきた。
「マジカルプラネティックビーム!!!!」
そう言いながら、ホワイトエンジェルが放った光は地面を切り裂くかのように大きな光となり、紫晃に突き進んでいく。
「剣のくせにビームはずるいんだよぉぉぉ!!!」
なんとかビームをかわした紫晃は、仲間であろうダークエンジェルに向かって走り始めた。かわされた大きな光は、ビルにぶつかり、ビルのガラスは全て砕け散った。もはや、鏡が割れたときの衝動とはかけ離れ、その凄まじい威力のビームは、場の雰囲気で敵となってしまった紫晃を大きく後悔させた。
「たっ、助けてくれ、ダークエンジェル…」
「全く、根性ないわね、ピュアブラック…後でしっかりお仕置きしてあげるから、私の華麗な手さばき見てなさい!」
そう言って、ダークエンジェルは、太ももに付けてあるベルトから、ムチのようなものをとり、横に倒れている無人のバスにめがけて振るうと、ムチがみるみるうちに伸び、バスに巻き付いたと思うと、大型バスが持ち上げられ、ホワイトエンジェルに投げられた。背中の真ん中ぐらいまである短めのマントから見え隠れする女の子の細い腕からは想像もできないくらいの力である。
しかし、敵は手強かった。勢いよく飛んでくる大型バスを一瞬のうちに切り裂いた。剣から出る光がバスを貫き、真っ二つにした。その光は瞬く間に紫晃とダークエンジェルに向かってまっすぐに伸びた。バスをも切り裂く光に、紫晃はどうすることもできなかった。
「......」
紫晃は目を見開いた。まだ生きていることを理解するやいなや、自分の上に何かがのしかかっていた。
「…ダークエンジェル…」
そこには、咄嗟に紫晃を庇いボロボロになったダークエンジェルがいた。
「…ピュアブラック…ここは一旦撤退よ…」
「お、おい・・・大丈夫なのか...?」
平気平気と言いながら立とうとするダークエンジェルにはもうホワイトエンジェルに歯向かう力は残っていなかった。
「トドメをさしてやる!ダークエンジェル!!!今日こそ悪を正す!!」
うぉぉぉと唸りを上げながら、ホワイトエンジェルは剣を振りかざそうとしていた。自分を庇ってくれたダークエンジェルを連れて逃げよう。そう思ってダークエンジェルを見上げた途端、紫晃はダークエンジェルの屈することのない眼差しを見た。
「・・・この世に悪があってこそ正義そこにあり。私はまだ、正義に屈するわけにはいかない!!!」
そう言い放つと同時に、手に持っていた閃光玉を投げつけた。
こうして、ダークエンジェルと紫晃は逃げることができた。




