14話
二週間後、遂に遊園地の日がきた。
朝は涼しくなったが、昼はだんだんと日差しが照ってきて暑かった。
紫晃はバスで遊園地に向かうため、バス停にいた。
「師匠!おはよう!!」
いきなり背後から肩を鷲掴みされゆっさゆっさと荒ぶってくるのは、宿敵のホワイトエンジェルこと直人だった。
「お、おおおはよ、う」
友達のいない紫晃にはこんな挨拶の仕方は知らない。すぐに固まってしまった。
「おはよう」
振り向くと、春奈もいた。シックな黒の長めのワンピースの鎖骨から胸元にかけてレースであしらわれており、少し肌が透けて見える。それを凝視できない紫晃は下に目線をずらしてみたが、太ももから、ざっくりとスリットが入っており、歩くたびに白く引き締まった足が見え隠れしている。
もう春奈を安心して見るところが顔から上しかなかった。
「お、おはよう」
見上げてみると、髪の毛もいつもと違って上の部分を結わえており残った髪はくるくると巻いている。いわゆるハーフアップである。
ジャスティスモールの一件で、偵察に行った時も春奈の私服を何度か見たが、春奈はそういうものに疎い紫晃から見ても服のセンスの良さを思い知らされた。
しかし、今日の服はいつもより気合が入っているように柴晃は思えた。
「バスも来たことだし、行きますか」
そう言ってバスの運転手によろしくお願いしますと話しかけて直人が乗車すると、バスの中で女子達の黄色い歓声が湧いた。そして後から、すかさず乗った春奈を見て落胆の声に変わった。こんなにも乗りづらいバスには乗ったことがないと紫晃が思うほど、バスの中では二人に対しての視線が集まっていた。
「あぁ、やっと着いた……」
バスから一目散に降りた紫晃は入場する前から疲れ果てていた。
「案外、道が空いていて良かったわね」
「確かに。師匠はなんか疲れているね」
「なんで二人共そんなに元気があるのか……」
「あんた、バスですっかり酔っているけど、アトラクション乗れるの?」
「アトラクッション乗る前に少し休ませて欲しい……」
「全く、しょうがないわね」
そう言うと三人は入場口近くの休憩所に向かった。
「どう?だいぶ落ち着いた?」
「あぁ、迷惑かけてすまん」
「大丈夫だよ。僕は師匠の顔とそぐわない遊園地の景色を交互に見ていたら全然飽きなかったよ」
「さらっと、俺ひどいことを言わないでくれ」
「落ち着いたところで、遊園地楽しみに行きましょうか」
柴晃のツッコミをさらりと無視した春奈は、真っ先にベンチから立ち上がった。
「そうだね。ちょっと飽きてきたから行こうか」
「聞き捨てならん。人の顔見て飽きるってなんだ」
「さぁ行きましょっか」
「そうだね」
またもツッコミをかわされた柴晃は、腑に落ちないまま二人の後をついていった。




