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空色少年物語  作者: 青波零也
第一部 空色少年と賢者の行方
95/131

19:作戦会議(4)

 ブランの手にしたペンが、地図に一本の線を引く。それはセイルたちの現在いる地点から、アンダーシュ国へ繋がる道筋。

「既にシエラちゃんには話をつけてあるが、俺たちは『紅姫号』でアンダーシュに入る。とはいえ、すんなり入れてもらえるとは思ってねえ」

「そりゃあそうだろうね。こっちは空賊船、あっちは常に臨戦態勢の閉鎖的な国だ」

 チェインも気を取り直したのか、ブランの話に乗ってきた。ブランは「それもあるけど、もう一つ」と言って、もう一枚用意してあった紙に何かを無造作に書き込み始めた。

「道化の嬢ちゃんに話を聞く前から、アンダーシュ辺りは既に『エメス』が入り込んでるんじゃないかって踏んでてな、あらかじめシエラちゃんの手下に調べさせといたんだ。そしたら案の定……こーんな奴が空を見張ってるときた」

 喋りながらもブランの手は動き続け、言葉を切った時点で精密な一つの像を紙の上に描き出していた。それは大きな翼を広げた、鋼の鳥であり……セイルも見たことのあるものだった。

「これ……もしかして、『紅姫号』を襲った奴?」

「この前の大きな船でも見ました」

 シュンランがセイルの言葉に補足する。ブランが描いて見せたのは、一度目は『紅姫号』、二度目は神殿の戦艦『白竜の翼』を襲った、機巧仕掛けの鳥であった。この場では唯一、それを見たことがなかったチェインが、目を丸くしてブランの絵を覗き込んでいる。

「……こんなものが、空を飛んでるっていうのかい」

「ああ。見かけは鳥だが、機巧の武器を積んだ、れっきとした兵器だ。普通の船なら簡単に落とされちまう。ついでに、現在アンダーシュに出入りする定期便はアンダーシュ側で規制してるらしいぜ」

 よくやるよ、とブランは肩を竦める。そこまで『エメス』の侵食は進んでいる。だが、それを楽園の誰も認識していないのだ。誰の目にも入らず、誰の耳に噂を届けることもなく、着々と『エメス』はその基盤を広げ始めている。

「神殿は、何をやってるのさ……『エメス』は反逆の声明を、あんなに大々的に発表したってのに」

 チェインが唇を噛むのも、当然だ。本来真っ先にそれを防がなければならない神殿が、完全に後手に回っている。もちろん、その理由は明白だ。相手が異端であり、本来「誰の目にも留まるものではない」存在であるが故に、民衆にその脅威を大っぴらに伝えるわけにはいかないのだ。

 それは、『エメス』の長、ノーグの声明が広まった後も何も変わってはいないようであった。本当に知りたいことは、何も伝わってはこない。皮肉なことに、セイルたちはいつも異端であるブランの言葉から、現在の楽園を知ることになるのだ。

 まさしく、今この瞬間のように。

「……こいつはライラちゃんから聞いた話だが、どうも上層が揉めてるらしい。神殿が『エメス』をどうこうする、なんて言っちまったら、異端の存在を神殿が認めることになっちまうからな。阿呆な爺さんどもが、影追いだけで何とかできないかとか無茶なことを言ってるとさ」

 ふざけるんじゃないよ、と。チェインが小さく呟いた。だが、その声は酷く弱々しいものだった。チェインは、異端審問官……影追いとしてはとても微妙な立場にある。何しろ彼女は神殿に心から忠誠を誓ったわけではない。復讐を果たすために聖別の武器を取り、異端や空賊と行動を共にする彼女が神殿からどう受け止められているのか、セイルが知ることはできない。

 ただ、チェインの表情を見る限り、彼女には一抹の迷いがあるように、見えた。シュンランもまた、チェインの複雑な心境に気づいていたのだろう、すみれ色の瞳を真ん丸くして、小さな唇を動かした。

「……チェインは、辛いですか」

「そうだね。辛いよ」

 チェインは素直に己の胸のうちを、言葉にした。

「ここまで来て、迷うなんてらしくないけどさ。それでも、わからなくなっちまったのさ。もちろん私のすべきことを見失ったつもりはない、ただ……神殿が無力だって言われちまうと、神殿に所属する身としちゃ、色々考えずにはいられないさ」

「だが、俺らは正義の味方じゃねえ。姐御だって、正義の味方をやりたくて、影追いになったわけじゃないだろ」

 チェインの迷いを断ち切るように。ブランはきっぱりと言い切った。

「『エメス』の思惑なんて、正直知ったこっちゃねえんだ。俺たちの目的はただ一つ」

「……『機巧の賢者』、ノーグ・カーティスに会うこと」

「そゆこと。別に姐御の悩みを否定するつもりはねえけど」

「余計なことを考えてる余裕もない、って言いたいんだろ? そのくらいはわかるさ」

 吐き捨てるようにチェインは言って、高い音を立てて机を叩いた。その余りの音の大きさにセイルはびくりと体を震わせるが、それは、迷いに満ちた思考を切り替えるための所作だったに違いない。顔を上げ、真っ直ぐにブランを見据える。

「それで、天才様。何も策がない、なんて言い出すつもりはないだろうね?」

「それでこそ姐御、言ってくれるぜ」

 ブランはにぃと歯を見せて笑う。それは意識して作った笑みだったのだろうが、この場にはやけに似合っていた。視線はその場にいる三人に向けたまま、手元の鳥の絵に素早くペンを走らせていく。

「俺様が『紅姫号』にお邪魔してた時……って、姐御は知らないんだっけか」

「話には聞いてるよ。勝手なことして追い出されたってのもね」

 セイルもすっかり忘れかけていたが、ブランは元々『紅姫号』の食客であった。それでありながら船長のシエラには無断で、一度は捕らえたはずの『ディスコード』とシュンランを解放してしまったのだ。シュンランを救えたのは当然セイルの頑張りもあるのだが、彼が頑張る余地を与えたのもブランの「独断」に他ならない。

 その反面、シエラに『ディスコード』とシュンランを捕まえるよう進言したのもブランだというのだから、この男の思考回路は未だによくわからない。

 ともあれ、ブランはその「独断」によって『紅姫号』から追放された。今、ここにブランがいられるのは、船長シエラが全面的に「セイルへの」協力を約束し、そのセイルがブランと共に行動することを望んでいるからである……その事実を、改めて思い出す。

「ま、俺様の過去の輝かしい活躍は横において」

 どこがでしょう、とシュンランが呟いた気がするが、聞かなかったことにした。ブランの笑顔もちょっと引きつったから、ブランにも聞こえてしまったのかもしれないが。

「こいつの動きの止め方については、以前やってみせた通り。ただ、対策してきてねえとも限らねえし、あくまで一時的な対策だ。だから、今回もシエラちゃんたちにはこいつの足止めを頼み、俺たちだけでアンダーシュ領内の苗木に突入する」

「……俺たち、だけで? 場所だってろくにわかってないんだよね?」

 にわかに恐ろしくなる。何しろ、ノーグ本人がそこにいるわけではないにせよ、アンダーシュの苗木が『エメス』の本拠地であることには違いない。そこに、たった四人と一振りで突入することは、自殺行為にも等しいのではないか。

 セイルの不安は、顔にも表れていたのかもしれない。ブランは氷色の瞳をセイルに向けて、軽く肩を竦めてみせる。

「は、異端研究者の情報網を舐めんじゃないよ。実は、アンダーシュの苗木の位置は大体特定できてる。それに、こっちにはシエラちゃん以外にも強い味方がいる。決して勝算の薄い賭けじゃねえ、と俺様は踏んでる」

 味方?

 ブランが何処からか情報を仕入れてくるのはいつものことだが、味方がいる、という話は初耳だ。むしろブランといえば、周りが敵ばかりという印象だったから。

 そして、それを言ったブラン当人が、うっすらと、ではあったが妙に複雑な顔をしていることも気にかかった。軽く咳払いをしたブランは、気を取り直したのかセイルたちを見渡してはっきりと言った。

「まあ、俺らに協力してくれる奴は案外いるってことさ。とにかく、これは、お前らの能力があるからこそ、実行できる作戦だ。それにお前ら、この俺が、負けるとわかってる賭けを仕掛けると思うか?」

「……ちょいと情けない話ではあるけど、説得力じゃ一番だね」

 チェインが少しだけ茶化すように言った。そしてまた、セイルも同じ気持ちではあった。ブランが言葉に反して極めて慎重なのは、この場にいる全員が知るところだ。シュンランはすみれ色の目を真ん丸くして、ぽつりと言った。

「ブランが賭けに出ることが、驚きです」

「俺自身そう思うよ。だが、『アーレス』での裏付けが行えない以上、ある程度賭けになっちまうのは仕方ない、って思い切るしかねえ。当然、作戦に対する責任は全部俺様が負う。だから」

 一旦言葉を切って、軽く息を吸って。ブランは、枯れた、しかしよく通る声を放つ。

「どうか、俺を信じて、力を貸してほしい」

 信じて。

 その言葉には、確かな力があった。

 今まで嘘はなくとも詭弁に満ちた言葉を放っていたブランとは思えない、真っ直ぐな言葉を受け止めて。セイルは清々しい気持ちが湧き上がってくるのを感じながら、強く、頷いた。

「もちろん信じるよ! 俺にできることなら、何だってする!」

 その言葉を引き継ぐように、シュンランが花の咲くような笑顔で言う。

「わたしも、セイルと同じ気持ちです。『機巧の賢者』に会うためにも、クラウディオを助けるためにも、力を貸さないのは嘘です」

「ま、アンタの思考能力だけは信頼に値するからね。そのアンタが導き出した作戦なら、この鎖を委ねるのに不満はないよ」

 猫のような目を細めてチェインも不敵に笑う。

 今、その場にいる全員の思いは一つだった。もちろん、その答えに至るまでの課程や、根底にある感情は全く異なるものだったのかもしれない。だが、誰もブランの言葉を疑わずに、力を貸そうとしている。それだけははっきりとセイルの心の中に伝わっていた。

 そんな三人の言葉を聞いて、ブランは微かに目を見開いたように見えた。そして、

「ありがとう」

 真っ直ぐに前を見据えて言い切った、彼の姿が――この目に、焼き付いていて。

 

 

 そして、セイルの意識は今この瞬間に引き戻される。

 四人で『紅姫号』の格納庫に向かう通路を駆け抜けながら、不意にセイルは頭上から降ってくる声を聞いた。

「……何で、こんな簡単なこともできなくなっちまってたんだろうな」

「え?」

「誰かを信じる、ってこと」

 横を走るブランの言葉は、ほとんど独り言であったのかもしれない。それでも、セイルは思わず声を上げていた。

「簡単じゃないよ!」

 ブランが驚いてセイルを見下ろす。セイルは空色の髪を揺らして走りながら、銀色の瞳でブランを見上げる。

「簡単じゃない。自分にも他の人にも嘘をつかずに信じきるって、絶対に難しいことだよ。俺……信じてる、って言ったけど。それでも、まだ、時々ブランの言葉を疑っちゃうから。信じるって、すごいことなんだ」

 ブランに一度裏切られたという記憶は、セイルの中に未だに一抹の影を落としている。ブラン自身に裏切った意識はなかったといえ、彼の言動に対して不安を覚えるきっかけになったのは、間違いない。

 セイルがそうなのだから、ブランにとっても、誰かを信じぬくということは限りなく難しいはずだった。いや、「ブランだからこそ」と言った方が正しいかもしれない。

 ブランは、強い。致命的な弱点を抱えていながら、それを差し引いても余りある強さを持っている。それは物理的な強さや特別な能力による強さだけでなく、知識力や判断力の高さ、また、精神の強さも含めてのことだ。ある意味では「感情を理解しない」という欠陥すら、判断力を鈍らせないための「強さ」になりうる。

 だから、ブランは己一人の力のみを信じてきた。他の誰を心から信じて、頼ったことなどなかったはずだ。むしろ、そうしてはならないと己に言い聞かせていた節すらある。

 自分が体験した悲劇を、自分以外の誰にも繰り返させないために。

 そんな頑なな思いを抱えたブランが、他の誰かに何かを「託す」ということは、決して易しいことではなかったはずだ。

 そのブランが、信じてほしいと望んだ。力を貸してほしいと望んだ。他でもない、セイルたちを信じて、そう望んでくれたのだ。

 だから――

「だからさ。ブランはありがとうって言ったけど、俺も言うね。信じてくれて、ありがとう」

 セイル、と。ブランが名前を呼ぶ。少しだけ癖のある呼び方が、逆に心地よい。そんなことを思いながら、胸の中に浮かぶ思いを言葉として放つ。

「こんな時に不謹慎だけど、わくわくしてる。やっと、ブランたちと同じ場所に立てた気がするんだ。正直、まだ、不安だし怖いけどさ。それでも……ブランが信じてくれてる、ってだけで頑張れる気がするんだ」

 自分の力がどれだけ『エメス』に通用するかはわからない。この前、ティンクルを退けられたのはシュンランの力があったからで、あのような不確定な存在をどれだけ相手にするのかも、わからない。

 けれど、ブランが「勝てない賭けではない」と言ったからには、その言葉を心から信じようと思う。ブランが信じてくれたように。そうすることで、全てがよい方向に回ると、信じる。

 ブランは、呆気に取られてセイルを見ていたようだったが、やがて視線を逸らして、乱暴にセイルの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。「わわっ」と思わず足を止めかけたセイルに向かって、目を逸らしたままのブランは言った。

「……おかげさんで、俺様も頑張れる気がするよ」

 その言葉の意味が、一瞬わからなかったけれど。それが、セイルの言葉を受けた、「セイルが信じてくれているから頑張れる」という意味であると気づき、思わず笑みがこぼれる。

「ブランとセイルは、とっても仲良しさんですね」

 セイルに手を引かれているシュンランの声には、どことなく羨ましそうな響きが混ざっているような、気がした。

 やっと、心が繋がり始めた嬉しさはあるけれど、仲良し、と改めて言われてしまうとちょっと気恥ずかしいものがあって。ぼさぼさになってしまった空色の髪を慌てて直しながら、通路の先の扉に飛び込んだ。

 そこは、『紅姫号』の格納庫。

 置かれているのは、かつて『紅姫号』を脱出するときに使った滑空艇……『凧』。

 作戦会議の際、『凧』を使うことを提案したブランに対し、チェインは怪訝な顔をした。何故、小回りが利かず、自由に飛ぶこともできない滑空艇を使用するのか。『紅姫号』には楽園でも最高峰の性能を誇る羽ばたき艇もあるではないか、と。

 だが、そうしない理由はセイルにもすぐにわかった。ブランが口を開く前に、自然と言葉が口をついて出た。

「ブランしか船を操縦できない以上、複数人乗せるのが難しい羽ばたき艇は使えないと思う」

 はっとした顔でこちらを見たチェインに対し、セイルは更に言葉を重ねてみせる。

「それに、滑空艇が羽ばたき艇より小回りが利かないのは事実だけど、風さえ読めれば、羽ばたき艇には難しい、高速での長距離航行が可能なんだ。マナを使用しないから、魔力による感知や追跡もされない、って利点だってあるよ」

 そこまで言ったところで、シュンランがふわあ、と感嘆の声を上げた。

「セイル、詳しいのです」

「あ……うん、船については色々、勉強したから。でも、合ってるかな」

 恐る恐るブランの表情を窺えば、ブランは「大正解だ」と満足げに言ったことを思い出す。

「ま、操縦は俺様に任せといてくれ。上手くやってみせるさ」

「アンタは風読みも齧ってるんだっけか。それなら、信用して大丈夫そうだね」

 そう言ったチェインに、ブランはおどけて「快適な空の旅をお約束します」と言ったのだった。

 実際には快適とは程遠い旅になりそうだが、と『凧』に乗り込みながら、セイルは思う。元々緊急脱出用の『凧』に、四人は流石に少々きついものがある。計算上は問題ないとシエラが請け負ってくれたといえ、重量制限は大丈夫だろうか、とつい不安になってしまう。

 ブランは操縦席に取り付けられた計器と、シエラから預かった平べったい装置を確認し、それからセイルに向き直って装置を手渡した。

「セイル、飛空地図の読み方はわかるな?」

「……え?」

「俺は操縦と風読みに専念するから、指示を頼む。正直、今の俺の処理能力だと、その場の風を捕まえるのが精一杯で狙った方角からずれる可能性が高い」

 だから、お前が指示をするんだ、と。そう言ったブランの言葉に、セイルは息を飲む。

 飛空地図。それは、地形と気候を把握して、風の通り道を算出する魔道計算機で、空の上から現在位置を大まかに把握するために必要不可欠なものだ。どんな船にも必ず存在し、装置自体が魔力を帯びているため、魔法無能であるセイルでも扱える。

 しかし、その立体図を読み解くのはある一定の知識が必要だ。実際、ボタンを押して浮かび上がった、細い線で描かれた立体を見て、シュンランとチェインは首を傾げている。

 ただ――セイルには、確かに、それが「道」であり、「地図」であることが、わかっていた。

 飛空艇技師になるために、船の勉強をして。そして、同時にそれを「飛ばす」ための技術もまた、絶えず学んできた。飛ぶものの気持ちは、実際に飛んでみないとわからない。だからこそ、いつか実際に飛ぶ日を夢見て学び続けて。その知識が今、必要とされているのだ。

「できるだろ?」

「うん!」

 改めてブランに問われて、セイルは迷わず頷き、地図を膝の上に載せる。全員が所定の位置に収まったのを確認してから――セイルは、問いを投げかける。

「それで、苗木の場所は?」

「北北東、オード山の麓。現在位置を零として、とりあえず一六五、二二五で設定しといてくれ」

「わかった」

 手元の装置を叩き、数値を入力。すると、現在位置から目的地までの地形が示され、そこから割り出されたいくつかの空の道が描き出される。ただし、これはあくまで想定されたものでしかなく、実際には風読みで確かな道を探し出す必要がある。

「よし……じゃ、行くか」

 本当に、その辺に買い物に行くかのような気安さで。ある意味では彼らしいともいえる言い方で。ブランは言い放ち、『凧』を射出するレバーを、引いた。

 その瞬間、真っ白な『凧』は、『紅姫号』と無数の機巧の鳥との戦闘空域に放たれる。

 何処かで見たような光景。それは、『紅姫号』からシュンランを連れて逃げ出したあの日を、そのまま映し出したよう。

 だが、今度は逃げるための飛行ではない。攻め込むための、第一歩。

 セイルは装置を握り締め、轟々と響く風の中で、声を張った。

「――船首を、一時の方角に! 目標一六五、二二五……世界樹の苗木へ!」

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