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Conversion To Arms  作者: 太郎
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Play EP3

「さて、ここはどんなお店なのかしらね?」


愛花はお店の前で僕に尋ねる。もちろんそんな事わかるわけがない。


「さぁーね。普通の店なんじゃないの」


「そうね、入ってからのお楽しみね」

彼女は扉を開け店内へと入っていった。僕もそれを追いかけ、店内へと入る。


「いらっしゃいませ。二名様、こちらにどうぞ」


若いウェイトレスの女性が、僕たちを案内する。やはり、客はほとんどいないようだ。


「こちらが、メニューになります。」


そういうと、ウェイトレスは軽くおじぎをし、店の奥へと帰っていった。


一方愛花は、そんなウェイトレスを気にせずメニューを眺めている。


「霧峰、あなたは何を頼むの?」


彼女はそう言い、メニューを差し出す。僕はそれを受け取りメニューを見る。オムライス、ハンバーグ、スパゲティ…一般的なファミリーレストランのメニューばかりだ。軽くメニューを何にするか思考する。


「そうだな…オムライスにするかな。」


「あら、お子様ね。」


「おい、オムライスはお子様メニューじゃないぞ!それは偏見だ!」


久々に清々しいツッコミをした。こらえているようだが、店員の笑い声が聞こえる。愛花は愛花で笑っている。笑われると流石に恥ずかしい。こうなるなら、ツッコミなんてしなければよかったと後悔する。


「ごめんなさいね、霧峰。でも中々きれがあったわよ、今のツッコミ」

「そっ、そうですか」


自分自身赤面しているのがわかる。ツッコミがうまかろうが、正直僕は何の得もないのだが。


「それじゃ、私も決めたわ。店員さんを呼びましょう」


「えっ、それで何にするの?」


「いちいち決めるのが面倒くさいから、あなたと同じにするわ」


「そうですか」


さっきはお子様メニューと、オムライスを侮辱したくせに、オムライスを頼もうとするとは、彼女は結構な自由人だなと思った。やはり、彼女は謎だらけである。

彼女に注文させるわけにもいかないので、仕方なく僕が店員さんを呼び注文をした。


「ねぇ、霧峰」


注文中、ずっと無言で窓の外を眺めていた愛花が話し出す。


「はいっ?」


なんども名前を呼ばれて疲れてきたので、適当な相槌をうつ。


「何その相槌。私と居て疲れたのかしら?」


「別にそういうわけじゃないけど」


まさか一言で、こんな反応をされるとは思わなかった。考えていることが読まれているのであろうか?彼女はふてくされた顔でいる。


「本当かしらね…まぁ、いいわ。本題を話しましょう」


「本題って?」


別に今まで作戦会議でも、対策会議でも、行おうとしていたわけではないのに、本題といわれてすこしたじろってしまう。彼女がいう本題が、突拍子もないことじゃない内容でありますようにと願う。


「別にかしこまった内容じゃないけど、ただの世間話よ。霧峰、最近東部で事件が起きているのはしっているわよね?」


「うん。東部は政府があまり手を出してないから前から治安がそんなよくないんだよね」


彼女の話しが真面目な内容であったことに安心と疑問の念が浮かぶ。今までの話しとはまったく違うことによる疑問だ。


「まぁ、その事件の都市伝説の話しなのだけれど、不思議なことに、死傷を負ったはずの人が、武器をもって生き返るっていう話があるの。不思議でしょ?」


彼女が言う内容はやっぱり突拍子もない事であった。都市伝説は結構正直信じる方だが、彼女の言う内容は不可解な点が多すぎる。


「不思議だけど…そんな武器をもって生き返るなんてあまりに非科学的じゃないかい。ありえないでしょ」


「貴方ならそう言うと思っていたわ。でもね、面白い噂だと思わない?死にそうな時に死傷を負えば、生き返ってしかも武器を手にいれられるって」


「悪い噂だよ…なんか、武器が欲しいとかいうだけで、自殺する人でてきそうだよ」


「まぁ、あくまで噂は噂よね。私も別に本当だとは思っていないし」


「うん、都市伝説の大半はネタの情報源(ソース)がないしね」


否定はしが、気になる都市伝説ではある。なんというか、凄い過激な都市伝説である。僕にとっては無縁な内容ではあるが。


「失礼します。オムライス二名様です」


話しているうちに料理は完成したらしい。オムライスは、卵がいいつやをだしていて、視覚からも食欲を誘う。


「失礼しました」


そう言うとウェイトレスは再び店の奥に帰って行った。


「おいしそうね」


「うん。それじゃいただきますか」


さっそくオムライスをスプーンですくい、口に運ぶ。卵はトロトロで、ケチャップライスは味付けがちょうどいい。


「おいしい‼」

「おいしいわ‼」


見事にはもった。愛花もどうやら、オムライスをきにいったようだ。


「遊園地の中の店だからあまり期待はしていなかったけど、おいしいわね。」


「そうだね、本当においしいよ。」


スプーンが勝手に動く。まるでそんな感じに体がオムライスを求めていた。僕が食べ終えてから数分後、彼女も食べ終えた。


「ごちそうさまでした」


「久々に本当においしいものを食べたきがするわ」


彼女はそう言い席を立つ。


「えっ、もう行くの?食べ終わってからまだ数分も経って――」


「いったでしょ、時間がないって。今は12時だから…後5時間。一分いや、一秒も楽しい時間に費やさないなんて、人生棒にふるようなものよ。さぁ、行きましょう」


わずか一分、一秒に人生がかかっているなんてとんでもない話である。食後の休憩がしたいのは本音だが、彼女の言う通りにする。既に彼女は店をでようとしていた。


「ちょっと、愛花!会計どうするの?」


「今回は無料ですので、おきになさらずとも、結構でございます」


答えたのはウェイトレスであった。どうやらさっきの件で、ここも無料になったらしい。確かに愛花が凄い人で、色々やって無料にしたのは認めたが 、言葉として聞くと罪悪感がある。


「本当、すみません。ありがとうございました」


「いえいえ、かまいませんよ」


僕は軽く会釈をして、店を後にした。


遊園地は、本当は金がたくさんかかるはずなのにこんな事をしていたら、正常な感覚が狂いそうである。しかも学校をサボっているなんて、後でどうなることか。まぁ、そんな事は今はいいか…


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