プロローグ
政府歴元年 世界統一共和政府による世界統一を実現
世界統一共和政府が発足以降、世界は変わっていった。国名、国の政府、国の政治というものは存在しなくなり、国家はすべて消滅した。元国があったところは、元の国にかわりほぼ全ての管轄を世界政府が行うというのが今の時代である。世界政府の発足により、反発する国や民族、武力集団などがテロを起こしていた時期が一時あったが、世界政府はそれをいとも容易く鎮圧していった。この際「平和を語る政府が武力を所持してよいのか」と物議が世間を騒がしたが、この物議は不思議なことに時間とともに薄れていった。この裏には、政府による情報操作があったともいわれている。
政府歴3年 日本国の世界統一共和政府への加入
旧日本国内でも世界政府の革命は進んでいった。46道府県は全て取り払われ、東京以外の旧日本の地名を世界政府は奪った。ただ政府は、地方からは名前を奪っただけであり道府県のシステムは今もなお続いている。しかし、これまで局所的に発展していった東京への政策は違った。政府が直接すべての管理を行い、東京を東西南北の4部に分け、さらに10ずつ区分分けをしていった。東部と西部と南部は居住区、北部は政府の基地があり、南部は居住区の下に政府により、地下都市が建設されている。
政府歴5年 恒久平和実現宣言(別称.強制的平和宣言)
政府による革命は『恒久平和』を目標に進められていった。僕の親は、政府による『日本国消滅』を防ぐため、同じ考えの同胞を集ってテロを起こしたそうだ。しかしテロの情報は政府に筒抜けになっていて、テロ前に捕縛され間もなく政府に『反逆行動』とみなされ処刑されたそうだ。当時まだ幼かった僕は親戚の家に預けられ中学校卒業まで教育を受けた。親戚の家は、旧日本国の名家であった『凛城』という家である。僕は、男であるのに関わらず家事のイロハを教え込まれたり、平和であるのに剣術を叩き込まれたり、厳しい義父の教えの元成長していった。凛城家にも直系の子供が二人いて、彼らと同じ様に僕は教育を受けていきた。鳥籠の中の鳥の様に、自由を奪われ生きてきた僕にとって、高校生となり、自由な一人暮らしを始めた時の感動はひとしおでなかった。
楽しい高校生活、平凡な日々、自由な生活。僕が求めていた普通の日常は、今の暮らしの中で得る事が出来た。
そしてこの変わらない日常が、いつまでもいつまでも続いていってほしいと僕は願っている……