番外編
海斗のトラウマについて
小5の頃だった。今では信じられないくらい外交的(俺はそう思ってる)な俺だがこの頃は割といじめられていた。その時親父に
「いじめなんざぁ、こっちから言わしてもらやあ手前にも責任はあんだよ。力がありゃあ抵抗出来るんだからな。まあ、ここは俺の知り合いが開いてるから金はいらねんだとよ。せいぜいいじめ返せるぐらいの力はつけて来いよ。」
と言われほぼ強制的に入れられた道場-花月-に通うことになった。俺は筋が良いらしく、小6になってからはいじめはなくなった。いや、違うな。俺がいじめていたんだ………。今思えば、その頃からたまに俺はおかしかった気がする。自分が自分で無い感覚があった。それでも道場には通っていた。ストレスを、解消する為に。中2になる頃には俺は学校にも行かずに喧嘩の毎日だった。恥ずかしながらその時は力に溺れていた。喧嘩に勝つのが嬉しかった、自己顕示欲ってやつ?力を見せつけていた。あ、因みにこの頃からやってたんだよな、親父を殴っての小遣い稼ぎをさ。腐ってんな、性根が腐っちまってるぜ(まあ、自分なんだがな恥ずかしい)。でもある日、俺は知った。花月の裏の奥義ってやつを。そして試したくなった。誰かに。それが、おっさんだった。技は初めてだったから極まる事はなかった。でも十分に大量の血を流していた。俺を、腐っていた性根を、腐りきっていた価値観を、ウチクダクノニハ………
「うああああああああ!!」
それから俺は親父に叱られた。いや、叱られるなんてものじゃ無かった。それはそうだ。人を殺しかけたんだから。その後に俺は少年院のお世話になった。幸いあのおっさんは生きていたらしい。俺は安堵し、心が締め付けられた。中3になって出所した俺はまずあのおっさんに謝罪に行った。許しては貰え無い。それは分かっていた。なのに
「そうか。じゃあ、自分がこの先どうすれば良いかも分かるよね。これからはきちんと、真面目に、生きていくんだよ。ああ、そうだ!それと、力は大事な人のために使うんだよ?守る為だけに、ね。」
俺は泣いていた。何故そんな言葉を掛けるのか。何故罵声では無く、助言なのか。自分がどれだけちっぽけかを悟った。そして泣いている俺を心配そうに見ているこの人をみてさらに泣いた。そして思ったんだ、俺はまだ『やり直せる』んだって……。
そして高2の今、俺は………
「海斗ー!」
かけがえの無い物を貰った。俺はこの先には何があるかは分からない。でも、何があっても、力には溺れない、絶対にな
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