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七話 『過去と後悔』

 体育祭が終わり、愛瑠も今日一番元気で、とてもほっこりとした気持ちがあった。


 でも、あのことは一生忘れないだろう。

 愛瑠が、笑顔をなくした三年前、中学二年生の時。


 愛瑠と海斗は、同じ中学校に通っていた。

 しかも、ずっとクラスも同じという運命なのではと思ってしまっていた時が二人にはあった。

 でも、二人の甘々な空気はとある事件がきっかけで、愛瑠が笑顔をなくし、学校に来ない日が起きた。


 その事件が起きた一週間前。

 元々愛瑠は人より発育が良い方で、周りと比べれば胸が大きかった。

 女子は、その胸で男をたぶらかしていると言っていた。

 男子は、エロい目線で愛瑠のことを見ていた。

 女子の悪口みたいなものは愛瑠自身そんなに気にしていなかった。

 でも、男子のエロい目線だけはとても嫌だった。

 「海斗、最近男子のいやらしい目線が嫌なんだけど。どうにかしてくれる?」

 「あいつらは、この歳になると胸の大きいやつには自然と目がいきがちだからな。」

 「もしかして、海斗もその一人?」

 「いやいや、俺は愛瑠の胸なんか見ないぞ。あ、これは決して魅力がないわけじゃないんだ、単に、胸の大きさはそんなに気にしてないんだよ。でも、見てほしいって頼まれた時は見てやらなくもない。」

 「結局は見たいんじゃない。」

 「そうだな。俺も思春期の男子ですから。」

 「ふふ。」

 愛瑠が少し微笑んだ。

 海斗はそれを見てホッとした。

 「まあ、男子の視線どうたらは、正直俺が言ったところでどうにもならない。我慢しろとも言いづらい。かと言って、根本的な解決には至らない。」

 「じゃあ、どうすればいいの?」

 「んー。あ、じゃあ、愛瑠が、“男子、ちょっといやらしい〜。先生に言っちゃおっかな〜。”てきなことを言ったら多分少しはマシになると思うけどな。」

 「わかった。」

 愛瑠は海斗の提案を了承しやってみることにした。

 でも、それは逆効果だった。

 実際、先生に言うぞと言ったことである程度の男子は、あまり見なくなったようにも思えるが、もう、手に負えないような、下心満載な思春期男子は、もうガン見だった。

 それは、もう気色悪いくらいに。


 でも、その見る行動では満足しきれなかった男子が、ついに愛瑠の胸を触ろうとしていた。

 「おい、何してるんだ!」

 「いや、ちょっとこけて...」

 「完全に、愛瑠の胸に向かって手を伸ばしてたじゃないか」

 「い、いや、伸ばしていないよ。し、証拠はあるのかよ!」

 「いや、証拠はないが...」

 「じゃあ、俺が胸を触ったなんて言う事実はどこにもないじゃないか。」

 「もう、いいよ、海斗。」

 その胸を触ろうとしてきた男子は素早くその場から立ち去った。

 「おい、逃がしていいのかよ。」

 「いいよ、もう。こんな身体がいけないんだから。」

 愛瑠は少し涙目になりながら海斗に言った。

 「もう、この件に関しては、何もしなくていい。私がどうにかしてみせるから。」

 「・・・分かった。もし、助けが必要な時は言ってくれよ。」

 「分かった。」

 そう言った翌日、愛瑠は学校に来なかった。



 翌朝、いつもの時間に愛瑠が登校してこなかった。

 なんで休みなのかもわからない。

 とりあえず、連絡だけでもと思い、海斗は愛瑠に、『体調大丈夫か?』と送った。


 数時間経っても、返事が来なかった。

 既読すらもついていない。


 14:20分

 愛瑠からメールが来た。

 授業中だったので、こっそりとメールの内容を確認した。

 『たすけて。おなじくらすめいとだんしのひとがわたしをむりやりいえにつれこんできて、おそうとしてる』


 ひらがなでそう文が綴られていた。

 確かに、今日クラスメイトの男子も欠席していた。

 (でも、助けに行こうとも場所わからないしな。)

 と海斗は思ったが、ふとスマホのホーム画面を見たら、位置情報アプリが入ってあった。

 もしかすると、と思い開いてみると、愛瑠がいると思われる場所が表示された。

 海斗は、すぐに席から立ち、愛瑠のところへと、向かった。

 「おい、お前、どこに行くんだ。」

 「ちょっと、体調悪いので帰ります。さようならー。」

 と海斗は言って教室から離れた。



 愛瑠の位置情報を見るに、割と学校から近い場所にいることが判明した。


 俺は全力で走った。

 3分で愛瑠がいる、否、同じクラスメイトの立石英知たていしえいちの家についた。


 インターホンを押さずにそのまま家に入った。

 不法侵入だとか思われてもいい。

 とにかく、愛瑠を助けることだけしか、海斗は考えていなかった。

 立石の部屋の扉をおもいっきり蹴った。


 ドーンと扉が壊れる音がした。

 その部屋にいたのは、下着姿の愛瑠がいた。

 その隣には無理やりにでも下着を脱がそうとしていた立石英知がいた。


 「…!海斗!」

 「な、なんでお前がここに...」

 「おい、立石。お前、愛瑠になにをしようとしている?」

 「何をしようとも、今からシようと思ってたんだよ。で、手始めに胸を触ろうとしたところにお前がきたんだよ。ハッキリ言って邪魔。出ていけ!」

 「ふざけんな!」

 海斗は立石の顔をおもいっきり殴った。

 十五発くらい海斗は立石の顔を殴りつけていた。

 「お前が、しようとしていたことは、犯罪だ。愛瑠を連れ去って、性的なことをしようとしていたんだからな。でも、今こうやって殴ってる俺も同罪だから、一緒に仲良く少年院に行こうぜ。」

 ハッキリ言って、海斗は頭がおかしかった。

 それから、警察が来て、案の定二人とも警察に連れて行かれた。


 でも、海斗は、あっさりと出られたが、立石の方は、逮捕されたと後からニュースでやっていた。


 尚、そこからは、謝罪やらなんやらが立石家の方であったらしいが、その後の立石が今どうしてるかは、二人は知らない。




 俺は、前ギリギリ愛瑠のことを助けられたが、もし、これで、俺が愛瑠の居場所がわからず、助けが遅れていたら────


 なんて、考えてしまう。

 ずっとそうだった。

 あの事件があった日からずっと俺はこんなことを思っていた。

 でも、今みると、愛瑠は笑っている。

 あの事件のことは愛瑠の中では一生残り続けている。

 でも、その傷ついた心が、今では、少しずつ癒えているようになってきていると俺は思っている。



 『今度は、何がなんでも愛瑠とは絶対離れない』

 と俺は、事件が少し落ち着いた時に愛瑠にそう言っていた。

 でも、今では、助けを呼べる仲間がいる。

 だから、俺一人じゃなくて、誰かと一緒に愛瑠を助けられたらなと、最近ふとそう思ってしまっていた。

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