六話 『スポーツテストと体育祭』
俺たちの通う高校では、スポーツテストで良い成績を残さなければ体育祭の種目を選ぶことができないという、とても不思議なルールがある。
でも、このルールーには欠点がある。
そう、成績が悪い人は場合によっては選べない、もしくは、選ぶものが少なくなって、自分のやりたいのがなくなってしまうという欠点がある。
だから、みんな良い成績になるように頑張って取り組む。
あ、そういえば、もう一つ欠点とかではなく、理不尽なルールがある。
『校則第19条 体育祭はスポーツテストの成績が良い人から一つずつ種目を選べられるものとする。女子はスポーツテストの成績関係なく、男子よりも先に選べられることにする。尚、順番は、女子は名簿順で、その次に男子のスポーツテストで成績が良いものからの順とする。』
というような意味のわからない校則がある。
誰だ、こんなクソみたいな校則考えたやつ。
とまぁ、よくわからない校則がある。
いくら、男子が頑張ったとしても絶対に、一番最初には選べない。
「よし、俺が生徒会長になってこの校則を変えてやる!」
「海斗。生徒会長は、女子しかなれないって、決まりがあるでしょ。」
「じゃあ、愛瑠が生徒会長になってよ。」
「いや、あたしには荷が重いって。それに、まとめるような力もないし。」
若干重い空気になってしまった。
とそこで、リリアが、「じゃあ、私が生徒会長になってあげましょうか?」なんて言ってきた。
確かに、リリアは国民的アイドルだから、そいうのはなにかと向いているのかもしれない。
「じゃあ、立候補までに、やる気があったら、ぜひともなってもらいたい。」
「その時は、海斗くんに責任者になってもらいますね。」
「おう、任せとけ。」
それから、数日たち、ついにスポーツテストの日を迎えた。
やはり、男子はかなり頑張っているが、女子の方は、みんな楽しそうにやっていた。
まじで、こいうの見ると、この校則ゴミだなって思う。
でも、うれしいことに、リリアと愛瑠が俺だけに応援をしてくれた。
「海斗、絶対に一位とってね!」
「海斗くんファイトです!」
俺は、その応援に応えるべく、久しぶりに本気でやった。
一週間後。教室に入ると、スポーツテストの結果が黒板に張り出されていた。
「お、おい。なんで、海斗が一位なんだ?」
「前まで、真ん中くらいだったのに。いかさまだ!」
と教室に入るなりそんな罵詈雑言を浴びせられた。
「いや、海斗はいかさまなんてしてないわ!」
そこには、愛瑠がいた。
愛瑠が、俺を助けてくれたことで、なんとかこの場は収まった。
それから、体育祭の種目を決めるということで、最初に女子から順にやりたい種目を選んでいく。
「はい、それでは、次に男子の一番良かった人は、加西だな。それじゃあ、加西から順位が若いものからどんどん選んでいってくれ。」
俺は、無難に綱引きにしようとしたが、周りからは、「運動神経いいんだから、綱引きはないよな?」なんて、とてもすごい圧を受けたので、俺は、100m走にした。
因みに、リリアと愛瑠はリレーを選んでいた。
「それじゃあ、全員選んだので、今日は解散します。」
その合図にみんな帰り支度を始めた。
俺はいつも通り、リリアと愛瑠とで帰る。
「ねぇ、海斗、体育祭本気でやってね。でないと、あのことバラすよ?」
「あのこととは?」
「それだけはやめてくれ。あと、リリアは気にしなくていい。」
「じゃあ、本気でやってね。」
「わかった本気でやるよ。」
そう言うと愛瑠はとても嬉しそうだった。
リリアはと言うと、なんのことだかさっぱりわからない様子だった。
「あのー、海斗くんって実はすごい人だったんですか?」
「あー、まあ、中学の時全国1位だったんだよ。体力、いや、この高校でいうところのスポーツテストでだ。」
「てことは、運動神経が良かったということですね。すごいです!」
そう言うリリアは、自分のことのように喜んでいた。
「海斗くんが、頑張ってくれるんですから、私たちも頑張りましょうね。」
「そうね。海斗にカッコ悪いところを見られたくないもの。」
二人はとても不気味な顔をしてそう言っていた。
あ、ちょっとここで一つ言い忘れたが、実は、愛瑠も、運動神経が抜群に良かったりする。
多分、この高校で愛瑠に敵うのはいないとおもう。
もし、いたらそいつは、オリンピックに出られるレベル、もしくはもう出ている人でないと勝てないくらいやばいからだ。
「海斗」
「海斗くん」
「「私たちのことだけを見ててよね。」」
二人は、本当の姉妹のような感じにそう言った。
体育祭当日。
天候は快晴、気温は27.5°と丁度いい気温だった。
秋にやる体育祭は暑くなくて丁度いいな。
各々、自分の種目をやり遂げていた。
俺たちのクラスは何故か知らないが、かなり運動神経のいい人たちがいっぱいいる。しかも、男女共にだ。
多分他の学校には、少なからず嫌いな人がいてもおかしくないのだが、俺たちのクラスに関しては、スポーツを嫌いな人がいない。
なんとも珍しいクラスなんだろうと最初は思ったが、もう慣れた。
やはり、俺たちのクラスが圧倒していた。
正直俺が本気で走らなくても、もう競技の一位は確定してるのだから、やんなくてもいいだろうと思っていたのだが。
『ねえ、海斗体育祭本気でやってね』
愛瑠から言われたこの言葉。
言っていた時にどこか、嬉しそうな感じだった。
「まあ、それはそうか。」
俺は、愛瑠がそう言っているのだから、本気でやろうとそう決意した。
最後の競技。
俺が出る100m走はなぜか最後の競技となっている。
各々、スタート地点に着いた。
「位置について、よーい。」
ピストルの音が鳴り、一斉に走り出した。
俺は、少しスタートが遅かったが、この程度なら問題ない。
俺は、本気で走った。
これ以上、愛瑠には悲しい顔をさせたくないから。
俺は、後続を大きく話してゴールした。
三年生の陸部のエースにも勝った。
そして、俺たち2年3組は競技を全制覇して競技優勝したのだった。
「さすが、海斗ね。」
そう言う愛瑠は嬉しそうだった。
「頑張って良かった。」
「なんかいった?」
「いや、なんでもない。」
「そう。あ、海斗、みんなで写真取りに行こ!」
「そうだな。取りに行くか。」
「なんか、海斗機嫌いいね。」
「そうか。普通だよ。」
流石に愛瑠が喜んでる顔を久しぶりに見て、嬉しいなんて言えるはずもなくて。
「じゃあ、取るよー。」
クラスの委員長がそう言って、その5秒後にシャッターが切れる音が聞こえた。
やっぱり、俺はまだあのことが胸にずっと残っている。
多分一生癒えない傷。
でも、愛瑠のおかけで、それもだいぶマシになった。
でも、その代償として愛瑠を悲しい思いにさせてしまった。
だから、せめて、この体育祭は愛瑠には笑ってほしかった。
結果、とても楽しそうで良かったし、俺が一位を取ったのを見て、誰よりも喜んでくれた。
「海斗、もう行くわよ。」
「おう。」
俺は片付けを少ししてから、愛瑠とリリアと一緒に帰った。




