四話 『猛攻』
「ねえ、なんで、リリアちゃんがいるわけ?」
「うふふ。それは、海斗くんに誘われたからです。」
愛瑠が俺からリリアを誘ったのを聞いて、すごい形相で俺を睨んでいる。
とても怖いし、なんなら、後日また別日にあんなことや、こんなことをされるかもしれない。
「まあ、もうしょうがないけど、海斗は後で覚えておいてね?」
すごい俺を威圧してきて、とても怖いと思った。
「は、はい。覚えておきません。」
俺が、軽く冗談で言ったつもりだが、それが間違いだった。
「今、海斗、覚えておかないっていたね?」
「いや、その、あの・・・」
「海斗。」
「はい。」
「ちょっときなさい。」
俺は、愛瑠に言われて近づいたら、愛瑠は俺の耳元で、俺の黒歴史を奏に伝えると言っていた。
終わった。奏にあんなことを聞かれると思うと、俺は、生きていけない。そんなレベルだ。俺にとっては。
「さあ、喧嘩はそこまでにしておいて、早速どこか行きませんか?」
リリアが間に入ってそんなことを言った。
「そうだな。とりあえず、遊園地でもどうかなって思うんだけど。」
「「はー。」」
二人は何故か大きくため息をしていた。
そんなに、遊園地ってダメなの?
「海斗くん。流石に遊園地は定番すぎますよ。」
「そうよ。もっと、定番じゃない別なところに行きましょう。」
そう言われても、思いつくものがない。
「あ、そういえば、デイズーシーのチケットをもらっていたのを思い出しました。確か、ちょうど4枚あった気がします。」
なんと、リリアがそんなことを言っていた。
すると、愛瑠はとても嬉しそうに、「そこにしましょう!海斗もいいよね?」と言っていた。まあ、本当は今日、愛瑠とのデートなので、愛瑠が行きたいところに連れて行こうと思い、俺たちはデイズーシーへと向かった。
「ねえ、あれ乗らない?」
愛瑠がそう言っていたのは、ジェットコースターだった。
まあ、普通のジェットコースターとはさほど変わらないが、俺はあまりジェットコースターは得意ではない。むしろ苦手な方である。
「私は、全然構いませんが、海斗くんはどうしますか?」
「いや、俺は───」
乗らないと言おうと思ったが、流石に、俺が乗らないと知ったら、疎外感が出でしまうのではないか。もしかすると、嘲笑ってくるかもしれないが、多分それはないと思う。でも、俺のプライド的には、乗らないとなんかダメな気がした。
「────全然いいよ!」
俺は、選択を間違ったと思った。
まず、注意事項をよく読んでいなかった。
360度回転するなんて聞いてなかった。
二人はスリル満点で楽しかったと言ってたが、俺はジェットコースターが苦手なので、どれを乗っても楽しめない。
だから、今回のやつも、目が回るしで、なんにも楽しめなかった。
途中、なんか記憶が曖昧な部分があったが、ジェットコースター乗るといつもこうなる。何故そうなるのかは、自分でもよくわからなかった。
それから、色んなアトラクションに回った。
そのどれもがジェットコースターで、とても気分が悪くなって、少し休憩させてもらった。
「じゃあ、海斗がちょっと休んでいる間に、私たちで、違うアトラクション行かない?」
「んー。私はちょっと遠慮しておきます。」
愛瑠が少し不思議に思っていたが、そこまで追求することなく、「分かった。」とだけ言って、一人で違うアトラクションへと行ってしまった。
「良かったのか、行かなくて。」
「はい。私は、海斗くんともっと仲良くなりたいですしね。」
リリアはそう言っていたが、多分アプローチをするためにわざと断った。それは愛瑠も分かっていたが、あえて言及しなかった。
俺はそこに疑問を感じずにはいられなかった。
「あの、海斗くん。私、さっきチュロス買ってきたんですけど、一緒に食べませんか?」
「まあ、別にいいよ。」
いつ買ったのかは知らないが、とりあえず、お言葉に甘えて食べることにした。
「はい、あーん。」
「え?」
俺は戸惑ってしまった。だって、何故か、リリアが食べさせてくれようとしているのだ。
「い、いいよ。俺自分で食べられるし。」
「いえ、私が食べさせてあげたいんです。」
俺はリリアの熱意に負けて、食べさせてもらうことにした。
「はい、あーん。」
「あ、あーん。」
まあ、あーん抜きにして、とても美味しかった。
でも、美味しかったのは確かだが、味までは覚えていなかった。
それから、愛瑠が帰ってきて、俺も概ね回復できたので、比較的おとなしめなアトラクションに乗った。
それからは、あっという間に時間が過ぎた。
閉園を知らせるアナウンスが流れ、俺たちは、デイズーシーを出た。
「リリアちゃんのおかげで、とっても楽しかったわ!」
「楽しんでいただけて何よりです。」
なんか、二人が仲がいいの初めて見るかもしれない。
「あ、私は迎えの車が来てますので、先に帰らせていただきます。二人とも、今日は楽しかったです!では、また。」
リリアは満面の笑みで俺たちに言った。
リリアが嬉しそうに笑っているのは初めて見るし、なにより、俺はそれをみて、可愛いなと思ってしまった。




