二話 『強敵』
今日は、愛瑠が俺にアプローチをする日。
果たしてどんなアプローチをされるのか、とても楽しみにしていた。だって、女の子にアプローチするなんて宣言されて、どんなのが来るのか楽しみじゃないやつなんていないと思う。
俺は、楽しみな反面少し、申し訳ないという気持ちもある。
まあ、でも、俺の好きな人は多分変わらないと思う。どんなに、可愛い子が現れようが、俺は絶対に…
「おはよう!海斗。」
「おはよう、愛瑠。」
愛瑠が元気よく俺に抱き着いてきた。いきなり、抱き着いてきてびっくりもしたが、別に意識したりはしない。
「そういえば、今日海斗のために、お弁当作ってきたから、昼休み屋上に来てよね。」
「おう。ありがとう」
少し、愛瑠は照れていたが、あまり、こいうことを口に出すと、殴られる危険がある。
そして、昼休みになり、俺は愛瑠と一緒に屋上へと向かった。
「では、早速海斗に、私が作ったお弁当を食べてもらいます。」
そういって、俺は愛瑠からお弁当を渡されるのかと思ったが、違った。
「はい、海斗。あーん。」
(!?)
俺は、少し戸惑いもしたが、しないと、多分ずっとこのままなので、俺は口を開いた。
「おいしい?」
「あー。とても美味しよ。」
実際本当においしかった。なんといっても、俺の好物のからあげが入っており、サクサクで、とてもジューシーかつ、しっかりと醤油の味がしてすごく俺好みの味だった。
それから、俺は、さすがにずっとあーんをしてもらうと、時間が足りなくなりそうなので、あとは自分で食べることにした。
放課後になり、愛瑠は、早速俺の手を引っ張って、目的地へと向かった。正直、まだ、鞄にしまっていないものもあるが、まあ大丈夫だろ。
学校から二十分くらい歩いて、俺が全く来たことのないところに連れてこられた。まず、そもそも男が簡単に足を踏み入れられるところではない。
「愛瑠、ここは…?」
「ん?ここは、ランジェリーショップだよ。」
「なぜ、俺を連れてここに?」
「それは、海斗が好きな下着を選んで、それを私が着けるの。」
俺は、愛瑠の下着を選ばないといけないらしい。やばい。男が女の下着を選ぶとか、普通に気持ち悪すぎるだろうとも思ったが、愛瑠が隣にいるから、問題はない、とは言い切れないが、一人で入るよりは幾分マシだろう。
「海斗。このどれかだったら、どれが好み?」
そう聞かれた俺は、目をそらして、適当に選んだ。選択肢がある分助かるが、どんな色なのかはわからない。だって、女の子の下着選ぶの恥ずかしいんだもん。
そうして、愛瑠は会計を済ませて、俺たちは、店を出た。
「次は、どこに行くんだ?」
「そうだね~、私は特にないけど、海斗はどっか行きたいところとかある?」
「俺も、特にないな。」
「そっか。」
そして、俺たちはその場で解散して、俺は歩こうとしたが、愛瑠に袖を引っ張られ、後ろを振り向いたら、愛瑠が俺の頬にキスをした。
「えへ。じゃあね、海斗!」
「え、あ、うん。じ、じゃあな。」
両方とも顔が朱かったが、本人たちは恥ずかしくてそこまで気が付いていなかった。
これが、毎日続くと思うと、理性が保つか不安が募るばかりだが、俺には好きな人がいる。だから、愛瑠や、リリアを好きになってはいけない。
俺はそんなことを考えながら、家へ向かっている途中に、背後から視線を感じた。後ろを振り返ってみると、愛瑠と、奏が、俺の後をついてきているようだ。
なぜ、奏がついてきてるかは知らないが、愛瑠は多分、まだ物足りないのだろう。
それはそうと、なぜ俺は、こんなにも美少女に後をつけられているのだろうか。奏だったら、家で俺を待ってればいいのに。
俺は家に着き、玄関を開けたら、奏と愛瑠が出迎えていた。
さっき、二人は俺の後をつけていたのに、どうやって先回りしたのだろうか。いや、もしかしたら俺が気付いていないだけで、二人は俺を追い越していたかもしれない。でも、あそこはあまり人気がないため、俺を追い越したならすぐにわかる。そういえば、奏が新しく道ができて、俺が今日通ってきた道より、五分くらい短縮されたとか言ってたな。今度使ってみるか。今はそんなことを考えている場合ではない。
「てか、なんで愛瑠がうちにいるわけ?」
俺が奏に聞いてみると、「愛瑠さんは、お兄ちゃんの事が好きみたいで、それで、私もお兄ちゃんが好きなので、好き同士いろんな話題を共有しようっていう話になって、今に至るわけです。」
ん?今、奏が、俺のことを好きって言ってなかったか?もしかして両想い?!
「あ、お兄ちゃんは異性としてではなく兄妹として好きってことです。」
なんということだ。両想いと思った瞬間に、奏から、兄妹愛ということを告げられた。てことは、俺の片想い…。
「なんだか、海斗が落ち込んでるみたいなんだけど。」
「多分大丈夫だと思いますよ。」
………なんでだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!
ずっと両想いだと思ってたのにぃぃぃぃぃぃぃ。
よし、いっそのこと、ダメ押しで、奏に告ってみるか。
俺は意を決して、奏に告白をした。
「奏、俺はずっと奏の事が好きでした。どうか付き合ってください!」
「えーと、ごめんね。お兄ちゃんさっきも言ったけど、私…」
「うん、わかってる。それ以上言わないでくれ。」
俺の初恋は、あっけなく終わったのだった。
それから、愛瑠と奏は、俺の話で盛り上がり、なぜか、奏は愛瑠を応援すると言っていた。理由を聞いてみると、「だって、アイリちゃんに勝てる人間って多分いないと思うの。だから、私は、少しでも愛瑠ちゃんに勝ってほしいから、応援するの。」と言っていたが、別に奏が参戦したところで、俺はもう恋愛なんてしないし、新しい恋を見つけるなんてこともしない。だって、奏の事がずっと好きだったのに、両想いではないと発覚した時、俺は、少し後悔していた。なぜなら、昔、愛瑠のことが好きだったからだ。でも、いつしか、叶わぬ恋だと思い、あきらめて新しい恋を探して、見つけたのが、義妹の奏だ。だから、正確に言えば、奏が本当の初恋相手ではない。最低なことをしているなと自分でも思う。
愛瑠は、夕飯をうちで食って、そのあと、家に帰った。愛瑠の家は、少し遠いが、おじいちゃん家が俺たちの家のすぐ隣にあるため、今日はそこに泊っていくらしい。
今日は色々なことが起きたが、多分問題は明日の方だと思う。だって、日本のアイドルだし、そうだと知らなくても、注目を集める美貌を持っている。
どんなことが起きるかとかは想像するに難くない。でも、ちょっぴり楽しみな自分もいる。
今日、愛瑠とデートをして、行った場所は驚いたりもしたが、でもこうして一緒になにかをするのが、楽しいと思った。だから、もしかしたら、リリアも俺を楽しませてくれるんじゃないかって期待しているが、そこで、俺の期待通りではなかった場合、リリアを傷つけてしまうかもしれない。
だから、俺は過度な期待をしない。
明日、リリアが俺のためにしてくれたことを、あまり拒まずに受け入れようと思う。
色々考えていたら、なんだか眠くなり、俺はそのまま眠りについてしまった。




