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異世界でも野球やろうぜ!?  作者: ウエス 端
vs. ノウ=キーン王国
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13/120

第13話 変化

 6回表は、フローレンスに半ば強引に代走に出てもらったのに、結局無得点に終わって申し訳ないことをした。


 監督とセシリーには申し訳ないが、彼女のフォローを頼んでおこう。



 おっと、その代走はエドモンドの負傷で出したものだから、守備は選手交代しないと。


 というわけで、2番セカンドは控え選手のケントになった。


 守備はエドモンドに負けず劣らずというレベルだが、打力や状況判断ではだいぶ落ちる。


 でも守備の要セカンドはやはり守れる選手でないと。


 終盤でエラー連発とかなったら目も当てられない事態になる。



 そして6回裏、ノウ=キーン王国の攻撃は9番打者から。


 つまり、また上位打線に回ってしまうのだ。


 チャンスを逃した後だし、流れを持っていかれないように、ここは抑えるぞ。



 まずは先頭バッターを順当に打ち取ってワンアウト。


 そして1番ジャクリーンとの3度目の対決。



 今回も内と外で揺さぶろうかな。


 しかし、今回の打席では目に見える変化があった。



 それはバッターボックスでの立ち位置だ。


 2打席目まではベースに被せ気味に立って構えていたのに、少し後ろに引いて懐に呼び込むような構えに変えたのだ。



 向こうのベンチが指示を出したのか、自分で判断したのかはわからんが、ちょっと配球を考え直さないと。


 といっても時間がないので、まずはボール球で様子をうかがう。



 初球、外角外れにストレート。


 普通に見逃してボールが宣告される。


 次は内角高めギリギリのところ。

 やはり内角にも探りを入れないとね。


 これまた反応なくストライク。



 不気味だな、内と外どちらが狙いか掴めない。

 振ってくる気配も無かったけど、ど真ん中付近への失投狙いだろうか。


 どうするか……でもここは、どちらにしても内角を意識させてやる。


 内角低め、内側へボール気味に投げ込む。


 今度は反応して強振してきた。


 ガコッと詰まった音と共に、引っ張りに行った打球は3塁側ファールゾーンへ転がっていった。

 まあ、あそこはバットに当ててもファールになってしまうのだ。


 さて、これで内角への意識付けはできた。


 最後は外角低めいっぱいにカーブを決めて、空振りか引っ掛けさせる!



 パシィーン!


 踏み込まれて、ものの見事に右中間に運ばれてしまった。


 チクショー、ダマされた。

 最初っから、2打席目で空振り三振にしたのと同じカーブを狙ってやがったんだ。


「見たかピッチャー! 前の打席の借りは返したぞ!」


 ジャクリーンは2塁ベース上でガッツポーズと共に、味方を鼓舞するかのように煽ってきた。


 一気に一塁側の雰囲気がイケイケだ。


 そういえば彼女はノウ=キーン王国最強と謳われる魔道士だったか。

 軍の中じゃ有名人だろうし、乗せてはいけない奴を打たせてしまった。



 この状況で2番ルイーザ、一番手強い相手を迎える。


 でもやることは内角攻めであり高めで勝負することに変わりはない。


 コイツは構えとか何も変わらんな。

 でも闘志むき出しだったのが、落ち着いているように見える。


 これはこれで不気味だが、怯まずに内角高めを投げ込む。


 ブンッ! とこちらまで聞こえる空振り音でストライク。


 続けて内角高くボールゾーンへ外す。


 と見せかけてカーブでギリギリ高めストライクゾーンをかすめて、早くも追い込んだ。


 前の打席みたいに挑発はしてこないな。

 してきても今回はさすがに無視だけど。


 1球低めに見せ球投げるか……いや、何となくそれは相手を一息つかせるようで良くない気がする。


 ここは外角高めに釣り玉でいく。

 ひとつコントロールミスすれば奴のスイートスポットに行きかねないが、だからこそ振ってくる。


 全力込めてストレート!


 ガキーン!


 くそ、当てられた。

 だが打球ははるか上空、内野フライだ。


 でもなかなか落ちてこない。

 ドーム球場なら天井に当たってるかもな。


 そしてここは仮想空間の球場なのに、リアルさを追求してか上空には風が吹いている。


 結構イヤな状況だ。

 落下地点が読みにくいが、変わって間もないセカンド方向へ行きそうだ。


 キッチリ取れるか……。


 バシッと慎重にグラブに収めてくれた。


 ヒヤヒヤしたがコレでツーアウト。


 ルイーザは肩を落としてスゴスゴとベンチへ戻る。

 投球の疲れが出てるのかもしれないな。



 それはともかく、あとは3番の左打者ブライアンを仕留めるだけだ。


 コイツは巨漢で長過ぎるリーチゆえ、内角に投げておけば問題ない。


 オープンスタンスで構えているが、それはハッタリでむしろ外角に投げさせるのが目的だ。


 そして早くもツーストライクと追い込んだ。


 一気に決めて、また流れをウチに引き戻してやる。


 オリャッ!

 内角の胸元にストレートで決めにいく。


 だがいつの間にか短く持ったバットで、ブライアンは強振してボールをとらえた。


 ガキィーン!


 バットの根元近くだが、短く持った分コンパクトに振り抜いてきた。


 パワーがすごいので外野まで運ばれてしまった。

 ポテンヒットになりそうで嫌だな。


 でも飛びすぎて、ライトの定位置からライン寄りでキャッチできそうだ。



 無事無失点で切り抜けた……と安心してベンチに戻りかけたが、ライトが下がり始めた。


 おいおい、どこまで飛んでいくんだよと思って見ているうちに、入ってしまった。


 ライトのポール際、フェンスギリギリを打球が超えてしまったのだ。


 そんなバカな!

 しかし無情にも2ランホームランで勝ち越し点を与えてしまったのだ。

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