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山ン本怪談百物語

エレベーター怪談

作者: 山ン本

こちらは百物語八十話の作品になります。


山ン本怪談百物語↓


https://ncode.syosetu.com/s8993f/


感想やご意見もお待ちしております!

 時間は夜の11時過ぎ。


 会社で残業していた時の話です。


 当時、ウチの会社は長い繁忙期が続いており、ほとんどのスタッフが毎日会社に残って残業をしていました。


 「えぇ、はい…書類の作成は終わっています…えぇ、その後の会議は…」


 地方の工場にいる上司と携帯電話で会話しながら、エレベーターに乗り込んだ時のこと。






 「あっ!どうも…」






 エレベーターの扉が開くと、そこには優しそうな顔をした初老の女性がいました。


 (こんな時間に誰だろう?取引先の人かな…でもこんな時間に…)


 女性はスーツ姿や工場着でもなく、普通の格好をした女性でした。






 「9階、行きますか?」






 女性はエレベーターへ乗り込んだ私に向かって、小さな声で言いました。


 「いえ、事務所がある2階へ…えっ?」


 この会社のオフィスは8階建てで、9階は存在しません。


 しばらくするとエレベーターのドアが閉まり、ゆっくりと上に向かって動き始めました。






 チーン…






 ドアが開くと、女性は私に向かって…


 「9階ですよ。降りますか?」


 笑顔でそう言ったのです。






 そこは確かに9階でした。


 エレベーターの外を見ると、床に「9階」と書かれた文字を見つけたのです。


 「9階ですよ。降りますか?」


 女性はエレベーターから降りると、私に向かって笑顔で手招きをしてきます。






 「い、いいですっ!おりませんっ!」






 私は咄嗟にそう叫びました。


 なんというか、本能が拒否をしたというのでしょうか。


 心の中で「絶対に降りてはいけない」という思いが強くあったのです。


 女性が私に向かって残念そうな顔をした瞬間、エレベーターのドアが静かに閉まりました。






 その後、私が2階の事務所へ向かうと…


 「おい、どこで何やってたんだ!現場から長時間離れるなら連絡くらいしなさい!1時間も待っていたんだぞ?」


 時計を確認すると、時間は夜中の12時を過ぎていました。


 現場から事務所まで10分とかからないはずなのに、私は1時間も説明不可能な時間を過ごしていたのです。


 「エレベーターで事務所へ行こうとしたら、変な女性が乗っていて…9階に行ったと思ったら9階なんてなくて…何て言えばいいんだろう…」


 その後、私は先輩にこっぴどく叱られました。


 もう会社のエレベーターは使っていません。

あけましておめでとうございます!


今年も怪談を投稿できるように頑張りますので、またよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 仮に女性の御言葉に従って9階で降りていたら、元の世界に帰ってこれなくなりそうです。 本能的な直感を信じて正解でしたね。
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