書道
観るのは好きだが、自分ではやらない。
課題に出されたら、手に取って書くが。
教室に習いにも行かなかった。行こうとも考えなかった。 勧められることもなかった。
そのようなわけで、冬休み以外はずっと学校のロッカーに置いたままにした。冬には年越しがあって、新しい年に向けた宿題を仕上げるのが恒例になっていたから、二学期の終業式の日に、持ち帰る。
お正月はただ自由でいたいから、大晦日までに全て終わらせた。
年末年始ならではの面白くて賑やかな各TV局の特番をハシゴするのが昔からの楽しみ。
大好きな過ごし方を心ゆくまで満喫するためならペースを上げて片付けた。
早めに仕上げておけば、充分乾かせるうえに、迷いなく書き上げる勢いがあって、予想以上の出来ばえになるからであった。
習い事の一貫にしている級友と比べるとやや豪快ではあったが、そこそこ良い評価を貰えていたから、羨ましいとは思わなかった。
今年の目標。来年への希望。新しい夢。
人の道を生きる時間、その中で起こるそれぞれの12ヶ月は、数え切れないほど息をしている。
高校を卒業してから墨汁は使っていない。
社会人としてのたしなみでペン習字はひと通り練習した。とりあえず筆ペンは常備している。
イラストを描くために100円のらくがきちょうを買ってあった。
半紙はないから、最初の1枚目を使う。
ペーパークラフトで固定し、新品を持ち言葉を書いた。
おやつの時間だったから、ほうじ茶を飲みながら、柿の種とピーナッツを食べつつ気ままに筆ペンを動かした。
「ねこ」空いたところに子猫の絵。
書き初めの季節ではないから、好きにする。
タげは鯖の味噌煮卵とじ丼にしよう。