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「・・だから、友達がもし、そのアメリカのひとと同じようなケースだったらと思うと、すごく怖いの。」
と、優貴は思いつめた表情をして言った。
僕は少しの間適当な言葉が見つからずに黙っていたけれど、しばらくしてから、
「それで、その友達は今はどうしてるの?」と、一番気になっていることを尋ねてみた。
「彼女は今もまだ病院にいるわ。」と、優貴は僕の質問に答えて言った。
「とりあえずもう少し詳しく検査をしてみようということになってずっと病院に入院してるの。・・わたしもついこの間彼女に会いにいってみたんだけど、ほんとうに彼女は気持ちよさそうに眠ってるだけに見えた。もう一週間以上も眠り続けたままだなんてとても信じられなかった。」
「・・・ほんとうに何をしても彼女は目を覚まさないの?たとえば電気で刺激を与えてみるとか?」
と、僕は半ばすがるような口調で言った。
その僕の言葉に、優貴は少し疲れたように首を振った。
「色々試してみたらしんいだけど、駄目だったみたい。電気ショックも、大きな音も、刺激臭も・・全部、彼女の眠りを妨げることはできなかったみたい。」
「・・そっか。」と、僕は優貴の言葉にただ力なく頷くことしかできなかった。
ふと、窓の外に視線を向けると、いつの間にかさっきまで晴れていた空に雲が出始めていた。まるでこれからの僕の未来を暗示するかのように。
「・・わたし、さっき武が話してくれた夢の話を聞いてて、ふと気になったことあるんだけど・・。」
と、しばらくしてから優貴はゆっくりとした口調で言った。僕は窓の外に向けていた注意を優貴の顔に戻した。
「・・彼女もね、確か夢の話をしてた気がするのよ。眠ったままになってしまう前。最近変な夢をよくみるんだって。」
僕は無言で優貴の顔を見つめた。
優貴の言葉の続きを聞くのが少し怖くなった。