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「それでどうだったの?」
と、僕は気になって尋ねてみた。
優貴は僕の顔に視線を向けると、少し悲しそうに首を振った。
「・・・結局原因はわからないままなの。色んな検査をしてみたらしいんだけど、おかしなところは何も見つからなかったみたいで
・・脳波とかを測定してみても、眠っている状態のときと特に変わったところはみつからないみたいなの・・だから、脳死とか、そういう深刻な病気じゃないことは確かみたいなんだけど
・・じゃあ、なんで彼女が目を覚まさないのかということになると、お医者さんにも全然わからないみたいなの。
可能性として考えられるのは、眠りをコントロールしてる脳の機関が、何らかの原因で上手く機能しなくなってしまったんじゃないかっていうことぐらいみたい。」
「・・そっか。」と、僕はどう言ったらいいのかわからなかったので曖昧に頷いた。
優貴は僕の顔を見ると、少し躊躇うように間をあけてから、
「本で読んだけど。」と、いくら言いづらそうに話はじめた。
「実際に、眠りをコントロールしてる機関に異常が発生してしまったことで、死んでしまったひとがアメリカにいるみたいなの。」
と、優貴は言った。
僕は驚いて優貴の顔を見つめた。
「ただ、そのひとの場合は友達のケースとは全く反対なんだけどね・・。」と、優貴は付け加えるように言った。
「そのひとの場合は、眠りをコンとロールする機関が壊れてしまったことで、全く眠れなくなってしまったみたいなの・・睡眠薬とか使っても全然だめだったみたいで・・それでそのひとは最後、衰弱して死んでしまったみたい・・」
僕は優貴の話したあまりにもショッキングな事実に何も言葉を発せられずにいた。
「・・だから、友達がもし、そのアメリカのひとと同じようなケースだったらと思うと、すごく怖いの。」
と、優貴は思いつめた表情をして言った。