7話
人肌が恋しい・・・自分も人間なのだと理解したい。手や足を見ればなんの変哲もないただの高校生の身体だ。でも、なんだか脳では自分が人間ではない気がしてくる。
身体と身体を触れ合いたい。自分が人間だと証明したい。だから、俺はそう言った。
「いい・・・ですよ」
そして少女は俺の背中に手を回す。
人肌と人肌が重なり、体温を感じる。それと同時に、自分も人間なんだと理解した。
「ありがとう・・・・ございました」
なんだか気持ちが楽になって行ったので、離れる。
少女の顔は少し赤くなっていた。そんな顔を見せられたら俺もなんだか照れる。てか、今思えば俺この人の名前すら知らないじゃん!
「あのー、名前聞いてもいいですか?あ、俺の名前は神崎光輝。高一です」
少女は俺から目を逸らしながら言葉を放つ。
「私は百目鬼凛です。一応高校三年生」
「先輩でしたか!?」
凛さんと名乗る少女の容姿は高校三年生とは思えないほどに幼かったので年下とばかり思っていた。
「先輩とかはどうでもいいから。こっちは命を救ってもらった身だし・・・」
見るからにいい人だ・・・・まぁ、髪の毛は金髪だからちょっとヤンキーっぽいけどね。
てか、少し冷えるな・・・外は雨が降っているし仕方ないか。ここなら最低限雨は凌げるし、贅沢言ってられん。
「光輝くん。悪いけど、なるべく乾燥してる木の枝や(以下略」
凛さんに言われた通り、俺は木の枝などを拾って、凛さんに渡す。
すると、手馴れた手つきでいとも簡単に凛さんは火を起こした。
「凛さん、すごいっすね!次からは姉さんって呼ばせてください!」
「え?」
「凛姉さんはキャンプとかよく行ってたんすか?」
「そうだね、その時に自然と火起こしを覚えることが出来たんだよ」
そんな感じで、今日最悪な出逢い方をした凛姉さんと会話をする。
雨は霧雨になり、だいぶ凛姉さんと話した頃、数時間前に聞いたことのあるホバリング音が洞窟の中にまで聞こえる。
時間は分からないが、ざっと午後7時を回った頃だろう。辺りは雨が降っていることもあり、とても暗い。でも・・・いや、だからこそ、今回の救済物資を取りに行く。
こんな中救済物資を取りに行く人なんていないだろう。いたとしてもこの暗闇下で戦う事なんてない・・・正確にはできないか。
「それじゃ、俺はチョックラ救済物資を取ってきますね」
「平気なの?」
「余裕ッスよ」
ナイフと神崎☆グングニルを持ち、外に出ると俺は暗闇の中、ホバリング音とヘリコプターが放つライトだけを頼りに木々をかき分け歩くのだった。