4話
夜になり、辺りが暗くなると、突然今までのイライラが襲ってきた。
「クソ、なんで俺がこんな殺し合いに・・・・あぁ、戻りたいよ。ただの日常に。アホみたいに笑って、授業受けて、部活行って、帰る。そんな変哲のない日常に戻りたい」
親や友達は俺が突然消えて、心配してくれてるのだろうか?分からない。あぁ、ホントに帰りたいよ・・・・
どうすれば、帰れるか。それはまだ分からないが、とりあえず、この殺し合いで生き延びなければならない。生き延びるためにはナイフで人を刺すこともしなければならない時も来るだろう。
その時、俺はちゃんと人を殺す事ができるだろうか?
「ん、んぁ。寝ちゃったのか・・・・」
昨日の夜、この先の事を考えていると寝てしまった。
「じ、時間」
外に出て、太陽を見る。かなり日が出ているから既に8時30分ぐらいだろう。救援物資の時間までまだまだ時間はある。
どうしようか?
適当に干している服を乾いているか確認してから取る。洞窟の中に戻り、リュックに突っ込む。そのついでにナイフを取り、数回振ってみると以外にも重い。
「これがナイフか・・・」
ゴツイサバイバルナイフを眺めながらそう呟く。
「あ、そうだ!」
適当に外から木の枝を取ってきて、枝先をとんがらせるようにしてナイフで木の枝を斬る。
「出来た!」
長さ60センチぐらいの槍ができた。
「よし、こいつの名前は『神崎☆グングニル』だ!って、そろそろ時間か・・・」
救援物資の時間になりそうなので、外に出て、舗装もされていない道をただただ進む。救援物資はヘリコプターから上空で落とされるので、ヘリコプターの近くに行けばいい。と、言ってもまだヘリコプターの姿は無いがな・・・
ホバリング音が東から微かに聞こえるので、そちらに足を向ける。でも、その瞬間、ホバリング音とは真逆の方向から声が聞こえた。
「やめ・・・・て、助けて」
その言葉が俺に耳に入った瞬間、俺の足は西へと向かっていた。
走って数十秒、声を頼りに助けを求めている人を探すとすぐに見つけることが出来た。けど、思ってる以上に状況は最悪。
女の子が座り込んでいる所に中年男性がナイフを持って追い詰めいる。少女の足首は少々腫れていて捻挫をしていると考えるのが妥当だろう。
「っひっひっひ、どうしようか?お前はその足じゃ、逃げることすらままならないだろ?なら、殺す前に一発ヤッとこうかな・・・」
俺が木陰から状況を把握している間にも中年男性は少女にジリジリと距離を詰めている。
中年男性の言った通り、少女の足では走る事はもちろん歩く事、ワンチャン立つことすらきついだろう。
そんな状態で、俺が中年男性の注意を向けている間に少女が逃げることは無理だ。だから、中年男性の動きを止めて俺が少女を担いで逃げるしかないか・・・俺にそんな事が出来るのか?