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⑥意外性


『ひ、ヒィィ⁈く、くるなぁー⁈』


魔獣は商人のおじさんに向かって一直線に突っ込んでいった!!


このまま僕達が魔法を放てば、

確実に商人のおじさんも巻き混んでしまう。


兄さんは一瞬戸惑っていた。

そして放とうとしていた魔法をキャンセルして、

すぐに防御魔法の準備に転じた。



一度魔法をキャンセルすると、

魔力の消費は無くても

系統の異なる魔法を使う場合は

魔力の流れをリセットしないといけない。

つまり次の魔法の発動時間が通常よりも長くなるのだ。

連続で魔法を使うほうが実は早いのだ。



(今からじゃ兄さんの防御魔法が間に合わない!)



僕はそう思い、

とっさの行動に出た。

それは自分でもびっくりの選択肢だった。



僕はグッと拳を握りしめ

魔獣に向け放とうとしていた風魔法を

"僕自身"に当てたのだ。



「ーーっッ⁈」



僕の身体に風の衝撃が走った。

加減はしたけどそれでもとても痛い。めっちゃ痛い。


でもおかげで風の勢いのまま

僕の身体は魔獣と商人のおじさんの間を

上手い具合に滑り込むような

そして割り込むような形となって飛び込めたのだ。


(よし!

上手くいった!これでおじさんの身代わりに……)



あまりにも無謀だと思っている。



(ははっ。

危険なとこに飛び込むなんて、

僕にも『勇気』ってやつがあったんだなぁ〜)


そんなことを僕は目を閉じながら思っていた。


身を(てい)して(かば)った行動が、

なんだか僕には似つかわしくないような気がして、

自分自身の意外性を知れた気がした。


(兄さん……後は頼んだよ……

一緒に【魔剣】を見つけて

【魔獣王】を倒したかったんだけどね……

にいさん……)



タタタタッーーーヒュンッ!



ーーザクッ!!


鋭い何かが肉体に刺さる音だった。


今度の音は「ガドォーン」ではなく、

「ザクッ!」だ。


聞こえてきた音の感じとしては

包丁でキャベツを切った音にとても近い。


キャベツは芯の部分がとても固いから、

千切りにする際には

まずは芯の部分を先に取り除こう。


そもそもキャベツとは……


ん?

こんなふざけたナレーションがまだできるなんて、、

僕の生命力はたいした物だなぁ〜。


……あれ?てかまったく痛くないぞ??


たしかにザクッ!って音がしたよね?


いったい僕はどこを斬られたんだ???

そもそも斬られたのか?


確認する為に、

僕は恐る恐る目を開けた。


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