⑦
『続いては〜♪
今回初挑戦の若き剣士が現れたぞ。
おっと、これはまた珍しい!
背中には2本の剣を背負っているぞ。
"双剣の剣士りゅのくん"の登場だぁ!』
審判が興奮気味にそう言った。
ワァー
ワァー
闘技場の全体も興奮しているみたいだった。
ボルド伯爵「ほぅ、、、
彼がエリーナ姫のお連れの方ですか。
なかなかの気力の持ち主みたいだ。」
そう赤い瞳でりゅのくんのことを見つめていた。
手に持つグラスには高そうなワインが入っている。
それを持ちながら、
ボルド伯爵はVIPルームから見下ろしているのだ。
僕達もVIPルームからりゅのくんを見守った。
りゅのくん「!」
りゅのくんが上の方にいる僕達に気付いては
手を振ってくれている。
僕もすかさず手を振り返した。
『対する相手は〜♪
モーニングスターをぶん回す男
そう、
みなさんご存知のこの闘技場のベテラン!
"ぶんぶん丸のマルヤ"だぁ!』
ワァー
ワァー
闘技場が一際盛り上がっていた。
「さぁ、いったいどんな勝負が
繰り広げられるのか⁈
レディ〜、ファイ!!」ーーカーン!♪
ゴングみたいな鐘が響いた。
りゅのくんは2本の剣は使わずに、
1本の剣だけ両手で握りしめていた。
目を閉じて神経を研ぎ澄ませている様子だった。
その構え方はまるで、
剣道でもやっているかのような
そんな正々堂々とした構え方だった。
僕もりゅのくんの真似をして目を閉じては
『あなた様』にこの構え方を解説をしようとした。
先ほど剣道と僕は表現したが、
そもそも剣道とは……
『そこまで!勝者"りゅのくん"!』
……へ?
まだ僕の解説の途中だよ⁈
もう終わったの⁈
僕は急ぎ目を開けた。
見れば対戦相手のモーニングスター使いの
なんちゃらさんは(名前を忘れちゃった)
お腹を抑えながらうずくまっていた。
りゅのくんは1本の剣だけで、
この闘技場のベテランの男の人を
一瞬にして倒して見せたのだった。
ジナトス「つ、つよぉ〜⁈」
エリーナ「りゅのくんすごいです♡」
ザナトス「……やりますね。(クイッ)」
僕達はりゅのくんの実力に感心していた。
ボルド伯爵だけはこの時、
顔が曇っていたなんてことを、
僕達はまったく気付けていなかったんだ……