⑤
僕達はりゅのくんの応援をする為に、
観客席へと向かう通路を歩いていたんだ。
すると、
通路の真ん中で僕達のことを待っている人物がいた
その人物は僕達のことを見かけるなり、
優雅に歩いて近寄ってきたんだ
良く見たらその人物の顔は、
この闘技場のあちこちに貼ってあるポスターと
まったく同じ顔の人だった
『エリーナ姫。
お久しぶりです
我が闘技場へようこそおいでくださいました。
ワタシの名は『ボルド伯爵』
この闘技場のオーナーをしております。
よろしければ
そちらのご友人たちとご一緒に、
ワタシとVIPルームで観戦いたしませんか?』
にこやかな笑顔で丁寧な挨拶をした『ボルド伯爵』
特徴はと言うと、
短く白い髪に赤い瞳をしていて、
豪華な衣装には所々に高そうな宝石が散りばめられていた
宝石1つでお家が買えそうだ。
年齢は僕達よりずっと上のおじさんのような気がする
だけど、
とても若々しく見えるんだよね。
きっと毎日美味しい物をいっぱい食べてるんだね。
きっとワインを片手に夜景なんか
眺めちゃったりしてさ、
「極上のお肉も飽きたな……」
とか遠い目をしながら、
贅沢なため息を吐いちゃったりしてさ、
どうせ買い物でもきっと、
「品切れで買えないだと?
ならポケモンセンターオンラインで
大人買いだ!
支払い?もちろんこの宝石さ♪」キラン☆
ってな感じでさ、
そうやってポケモンカードを買い占めるから
市場に出回らなくなるんだよ。
小さな子供達がお小遣いを握り締めては、
わくわくした気持ちでお店に行ってるのにさ……
子供の夢を
大人がムキになって買い占めるなんて、
ほんと最低だよっ!!
ザナトス「……ジナトス。
失礼にもほどがありますよ。(クイッ)
『ボルド伯爵』失礼いたしました。
愚弟が勝手な妄想をしてしまい、、、
ジナトス、
そんなふざけたナレーションが
出来なくなるまで
そこで魔法の鍛錬をしておきなさい」
兄さんが怒っていた
無理もない、
あれだけで勝手な妄想をして
無駄にページ数を使ってしまったのだから……
ボルド伯爵「はははははっ。
すごい偏見だね。
キミは貴族に
何か恨みでもあるのかな?
さっ、エリーナ姫、
こちらにどうぞ。
キミ達も遠慮せずにきたまえ。」
僕の戯言なんて気にもせずに、
ボルド伯爵は笑ってVIPルームへと案内してくれた
ボルド伯爵のことを着飾っている宝石たちが、
まるで僕のことを嘲笑っているような、
そんな気がした。