④
僕はワクワクしながら闘技場を目指した
先ほどりゅのくんから【魔剣】について教えて貰ったからだ
なんでも闘技場に入ってすぐに、
ショーケースに入れられては堂々と飾られているんだってさ。
「……さぁ着いたぜ」
りゅのくんが闘技場を見上げながら言った
とてもデカい!
しかもちょうど街のど真ん中に闘技場がある!
街の噂で聞いた通り、
闘技場を中心として作られた街ってのは本当みたいだね。
僕達はさっそく中に入った
!!!!
僕達は"ソレ"を見ては固まってしまった。
ショーケースに入れられている【魔剣】の
存在感に目を奪われていたのだ。
僕なんかもう釘付けだった。
ショーケースの下のプレートには名前が書いてあった
【魔剣アルト】……と。
ジナトス 「綺麗だね」
りゅのくん「綺麗だな」
ザナトス 「不気味な」
エリーナ 「怖いです」
……ん?
兄さんとエリーナ姫は、
紫色をした宝石みたいな物が付いた【魔剣アルト】を一目見ては、
なぜか畏怖していた。
こんなにも綺麗で頼もしい存在感が出てるのに、、、
きっと美的センスがズレてるんだね。
ザナトス「わたしは数々の美術品にも
目を通していますよ。(クイッ)
ジナトスとりゅのくんは、
美的センスが問われますね。」
(クイッ)
兄さんはしつこいぐらいに眼鏡をクイッと、
二本の指で上げていた。
ジナトス「(兄さん……
僕と似たようなこと
言ってるよ、、、)」
エリーナ姫は【魔剣】を見ては怖がっていた
りゅのくん「エリーナ姫も⁈
くぅぅ〜、、、
俺たち庶民派だからなぁー」
ちなみに子パンダちゃんも怖がって震えては、
りゅのくんの懐に隠れていた。
その姿がカンガルーみたいでちょっと可愛かった。
紫の魔剣、【魔剣アルト】をもっと見ていたかったけど、
りゅのくんが受付カウンターに向かったので僕達も付いて行った。
「はぁ?
たけぇーよ!!
この前、ここを覗いて見に来た時よりも
参加料が値上がりしてるじゃねーか!」
りゅのくんが受付のゴツいおじさんに怒鳴っていた。
「……悪いな、あんちゃん。
【魔獣王】が暴れまわっているから
景気が悪くなったんだよ。
文句を言うなら【魔獣王】に言ってくれや」
ゴツいおじさんはニヤニヤと笑っていた。
「……て、てめぇ!
闘技場に景気は関係ないだろうが!」
たしかにあまり関係はなさそうに思える
「バカ言っちゃいけねぇぜ。
この闘技場の主催者さまは、
北の国での貴族をまとめていらっしゃる
『ボルド伯爵』だぞ?
そりぁ景気で左右されるってもんだ」
……これはきっと嘘だ。
ボルド伯爵は悪い噂で有名な人だもん。
北の国の貴族たちに命令しては、
貧しい村や街から税金を多く徴収しようと
計画を立てているって少し前に父さんが言っていたから。
そもそもこの闘技場だって、
【魔剣】をエサに、
バカ高い参加料を支払わなければいけないんでしょ?
おまけにチャンピオンだけシード権で、
しかも決勝だけ闘うってんだからとてもズルいよ。
「……どうする?
この料金だと、
俺たちの所持金で参加できるのは"1人"だけ
だぞ?」
……有り金を全部注ぎ込めば2人はいけそうだけど、
そうなったら宿屋に泊まれなくなるもんね。
お姫様を野宿させる訳にはいかないもんね。
「……魔法使いも参加できるみたいですが、
ここはりゅのくんが私たちの代わりに参加を
お願いします。」クイッ
兄さんが眼鏡をクイッと上げては、
りゅのくんを僕達の代表として選んだ。
「りゅのくんがんばってください♡」
か細く透き通った声でエリーナ姫は応援した。
りゅのくんはやる気が出たみたいだ。
「よーし!
ちゃんと優勝して【魔剣】を貰ってくるか!」
僕達は観客席の方へ、
りゅのくんは控え室へとそれぞれ向かった。