逃げ出したお姫様①
(どこかで見たことあると思ったら、
東の国のお姫様だ!
でもどうして此処、
北の国の《闘技場がある街》にいるんだろ?
姫はたしか神官の修行中だったような?)
僕は目の前のお姫様を見ては、
アレやコレやと色々と疑問に思っていた。
実は僕はこのお姫様のことは名前しか知らないのだ
会ったことすらない
それなのに『どこかで見たことある』と言ったのは、
お姫様の格好があまりにも、
『ゴブリンスレイヤー』に出てくる神官の女の子に、
とてもそっくりだったからだ。
おまけに声優さんも同じなのだから、
僕が勘違いするのも仕方のないことだと思う。
うん、うん、僕は悪くないよね。(チラッ)
僕のふざけたナレーションを、
誰かがそろそろ止めに入ってくるだろうと思い、
僕は先手を打って先に終わらせておいた。
僕は兄さんの反応が気になり様子をチラ見した。
兄さんが眼鏡をクイッっと上げては僕を睨んでいたが、
説明が終わっていたので、
僕の目の前にいるエリーナ姫に話しかけようとしている。
ほらね?
あのまま続けてたら危なかったでしょ?
りゅのくん「ジナトス、
しょうがないから、
俺が見ている人の代わりに、
ツッコミを入れてやるよ。」
りゅのくんが肩に乗っかってる子パンダを撫でながら続けて以下の言葉を僕に送った。
「 『知らんがな!』 ってな」ヨシヨシ
ヨシヨシされた子パンダは「きゅー♪」っと喜び鳴いていた。
「エリーナ姫。お会いできて光栄です。
姫はたしか【光の教団】で信仰を学んでいると、
風の噂で聞いておりましたが、
どうしてこのような場所におられるのですか?」
兄さんがエリーナ姫に質問をした。
「……はい、わたしはお父様から
北の大陸にある【光の教団】で信仰を学ぶよう命じられ、
神に感謝しながら日々を過ごしていました。
しかしある日のことです、、、
【光の教団】の教祖さまの『ザリフ司祭』が、
遥か昔に【魔王】を倒した『勇者』さまの子孫を探しはじめたのです。
きっと【魔獣王】に対抗する為でしょう。
ザリフ司祭は王族や貴族に『勇者の子孫』が残っているはずだと言い、
逆に勇者の血が流れていない王族や貴族など不要だから滅してしまおうと言い始めたのです。
……わたしは身の危険を感じ、
【光の教団】から逃げ出してきました。」
エリーナ姫は震えて泣いていた。
そんなエリーナ姫の前にりゅのくんが現れ、
肩に乗っかっている子パンダをエリーナ姫に抱っこさせてあげた。
りゅのくん「安心しろってお姫様!
俺達が【光の教団】から守ってやる!」
ジナトス「だね!」
エリーナ姫はりゅのくんの言葉が嬉しかったのか、
子パンダを優しく抱きしめながら
涙を拭い笑顔を見せてくれた。
そしてそれを見守る兄さんがいた。
ザナトス「……(クイッ)」
あっ、この『クイッ』は、、、
(やれやれ、『達』とはわたしも含まれているのですね?
わたし達の目的は【魔剣】を集め、
【魔獣王】を倒すことですよ?
それなのに……長いので以下略。)
の『クイッ』だね!
りゅのくん「いや、なげーよ!」
りゅのくんの見事なツッコミにエリーナ姫から思わず、
「あはは。」
っと笑みが溢れていた。
僕は真面目に兄さんの眼鏡クイッを解説したのになぁ
まぁ、エリーナ姫が笑ってくれたから良しとしよう。