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森の中の大賢者  作者: 凹村凸
東の王国編
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そもそもの過程

「ってことで異世界に行ってください」

「なんて?」


 神様のミスで死んだとかいう、現実味のない話から、私の物語は始まった。

 いや、地球にオギャアと生まれた時点で始まってはいるのだから、現実味のない話は第2の物語といったところだろう。


 だからと言って、唐突に人生第2部を始めないでほしい。と、目の前の外見麗しい女性に文句を言いたい。

 ある日、目を覚ますと、いわゆる女神のような、金髪金眼で白い布のような服を着た女性が私の前で腕を組んでいた。


 目を覚ました瞬間に飛び出てきたのが、先ほどの「異世界へ行け」という言葉だ。


「だから、ワタシという美しい女神様の手元が狂ったためにあなたが運悪く死んじゃったの。だからそのお詫びとして、異世界に転生しろって言ってんのよ」


 人を1人殺しておいて反省の色が無いと見た。


「ついでに魔王も倒してほしいわ。じゃあね」


 しのごの言う前に、異世界に転生した。死んだ時と同じ20歳の姿で。



*****



 で、色々頑張って、大賢者になりましたとさ。

 説明するのが面倒だから省く。

 簡単に説明すると、転生場所が森の中に建ってた三階建て……真ん中が吹き抜けだけど3階建ての家だったから雨風の心配は無く、なぜか水道とコンロがあったため水と火の心配も無く、周辺に生えていたキノコを食べたら色々な状態異常耐性がついたってだけのことだよ。


 ついでに掃除もした。面倒くさいけど。私がしなけりゃ誰がするんだい?って感じで。


 元々家事全般はできなかったんだけど、日数こなしたらできるようになった。

 服も自分で作れるようになったし……センスは無いけど。

 料理もなんとかできるようになったし……焼くだけだけど。


 ああ、昔が懐かしい。今何年経ったか知らないけど。

 とりあえず春っぽい季節が500以上来たからそんくらいだと思ってる。それ以上は数えてない。


 私の年齢についてはわからない。あの駄女紙……間違えた。女紙が……違う違う。女神は何もしなかったから、他の神様に見つかってどうにかなったんじゃないかっていうのは私の推論。


 家にはなぜか魔法に関する本が置いてあったから、開いてみたら普通に読めた。

 一応、本を読むのは好きだからね。気づいたら時間がものすごく経っていて、夜が開けていた。

 ついでに何か腕に噛み付いていた。


 痛くなかったから気づかなかったけど、頭が球体で体が円錐型で、そこから棒の手足が生えてるやつ。まるで子供の絵が実態化したようなものだった。うん、普通に可愛いと思う。どう思うかは人それぞれだけど。多分女の子。


 それからというもの、気づいたらご飯ができていたり、洗濯物が干されていたり、部屋が片付けられていたりしていた。多分、この女の子(仮)がやったんだと思う。


 それから何年経ったかわからないけど、気づいたら魔法の研究に没頭していた。

 本には魔法の使い方や魔力の操作の仕方。他にも、魔法の系統や武器の種類までもが書いてあった。


 もちろん、体力作りもした。

 私は運動が苦手なんだけど、魔法使いは体力が必要だからって本に書いてあった。

 だから森の中を走ることにした。

 20歳の身体で、500年以上歩いて回ったこの森を、走って回ることにしたのさ。

 おかげで、普段見れない景色や森の生き物に出会うことができた。


 でかい狼とか、でかいトカゲとか、でかいクマとか、地球で見た動物よりふた回り程でかかった。

 みんな私の姿を初めて見るのか、目を丸くして見ていたのには笑いそうになった。


 で、体力もつきました。


 体力もついて、魔力も沢山あって、魔法の知識も豊富になりまして……職業を知れる魔法を知った私が自分に使ってみたところ……ええ、『大賢者』と書いてありましたとさ。


 まあつまり、こんな過程で、私は大賢者となったのです。


 人間、数年でこんなことがあれば、誰もが嘘だと疑うものだと思うけど。

 流石に500年以上となれば、嘘だと疑うこともできないでしょう?


 全ては女神のミスとはいえ、異世界で大賢者になれた私は、こうして今でも魔法の研究に没頭しているのだよ。

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