表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
森の中の大賢者  作者: 凹村凸
東の王国編
10/41

ヒューレー王国へ

 やってまいりましたヒューレー王国!まだ入ってないけど。とりあえず王国内へ入るために、順番待ちをしている最中です。ほとんど商人しかいないらしく、とりあえず王国に入る2kmくらい手前に遠視魔法で場所を確認して転移魔法で移動。そしてたまたま通り掛かった商人の馬車に王国まで乗せてもらおうかと。

 乗車賃は後払いでね。

 一応、エアルの姿は他人には見えないようにしてある。万が一バレた時に、言い訳ができるほど私の頭は良く無いのでね。もちろん、その商人は彼女の姿が見えていないから、私一人が乗るものだと思っている。うんうん。良きかな良きかな。


 金を持っていないが素材はあるって言ったら、持っている素材を分けてくれれば良いと言ってくれた。良い人だ。

 ドリュース商会という名前の店らしい。王国に着いたら行ってみよう。


 素材はとりあえず、家にあるものを適当にね。もちろん、どこで貰ったかは言わない予定だよ。魔物から貰ったんだから、『貰った』という表現で間違いはない。取っては無いよ。え、強引に取る描写があった?気のせいじゃ無い?ははは……


 さて、ドリュース商人の会長であるドリュースさんは、まだ若いのに各地から魔道具や素材を仕入れてくるらしい。いろんな国があるもんだねぇ。

 私は森にずっと住んでいたから、森の外でどんな国ができようが関係なかったからね。あの森、どこの国にも属して無いから。って本に書かれてた。


「次のひとー」


 そんなことを考えていたら、いつの間にか私たちの番になった。さっきも説明した通り、エアルの姿は見えていないからここで払うのは、商人のドリュースさんと私の通行料金だけ。

 おや?


「ドリュース商会の会長さんか。時間ができたらまた店に行くからな」

「待っているぞ」


 ドリュースさんの顔見知りらしき、がたいの良い門衛(もんえい)さんが手続きをしている。そして彼は門衛さんに何やらカードを渡しているではないか。まさか……国に入るにはカードが必要なのか!?


「次の……魔法使いか?」


 門衛さんは私の格好から魔法使いだと思ったらしい。私が昔想像していた異世界の魔法使いといえば、黒の外套(がいとう)を着てフードを目深(まぶか)に被った格好をしているもんだったよ。偶然とはいえ、この世界でもそうだったというのは非常に助かった。


「うん?もしかして、国の中に入るのに必要なものがあったのかや?」

「そうだが、知らなかったのか?」


 目を丸くして訊ねてくる。

 そんなに珍しいものを見るような顔をしなくても良いじゃないか。好きじゃないよ、その目は。


「ずっと森の中で暮らしていたもので」

「変わっているな」

「研究するのに丁度良いんですよ」

「ま、そりゃそうか。人の迷惑にならんところでやってくれれば、俺たちも何も言わないんだがな」


 おやおや?まるで魔法使いが、人の迷惑がかかる場所で研究をしているように聞こえるねぇ。

 この世界の魔法使いは、近所迷惑とかそんなことを考えないくらい自己中心的な人間なのかね?いや、今まで会ってきた魔法使いでも、そんな人間はいなかったなぁ。


「中に入るには身分証明書が必要だ。それはどこの国でも変わらない」

「ほほう」

「身分証明書の発行は冒険者ギルドだとか商業ギルドなどでしてもらうか、時間がかかるがここで銀貨1枚で発行することができる」

「って言っても、手持ちがないんですよね……」


 私が外套のポケットを裏返してヒラヒラさせていると、門衛さんが額に手を当てて空を(あお)ぎ見ていた。


「お前もか」


 他にも私みたいなのがいるような言い方だねぇ。


「私は本当ですよ?」

「いや、それはわかっている。ドリュース商会の会長さんは、たとえそれが怪しい奴でも、信用できると思った人間しか乗せないからな」


 おや、もし私が信用できなかったら、あの時馬車に乗せてくれなかったのか、あの会長さん。

 いやー、改めて思うね、良い人だって。


「ちょっと待ってろ」


 門衛さんは走って、門の近くに建っている小屋の中へと行ってしまった。

 ドリュースさんの方を振り返って謝っておこう。


「すみませんドリュースさん。お時間の方は大丈夫でしょうか?」

「なに。ここであんたを置いていくと、今後の商売に支障が出ると思ったんでな」


 本当に良い人だよ。ドリュースさん。

 遠くからバタンという扉の閉まる音が響き、そちらの方へ向くと先ほどの門衛さんが走ってくるのが見えた。

 なにやら片手にB5くらいの羊皮紙を持っている。


「これは仮の証明書だ。新しい証明書ができたら返してくれよ」


 どうやら仮の証明書を持ってきてくれたらしい。走ってきたのに汗ひとつかいてない彼は、相当な手練(てだ)れだと感じた。というか、走ってくるとき強化魔法を使っている感じがしたから、きっと強い人なのだろう。


「ま、外から来たならコレを言わねば始まらん」


 門衛さんは咳払いをすると、手を門の方へと向けながら言った。


「ようこそ、森林の国『ヒューレー王国』へ」


 こうして私たちはヒューレー王国へと入国したのだよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ