私の神様
剣を一閃すれば、モンスターは真っ二つになってドロップアイテムを残して消滅する。
私はドロップアイテムを拾い、アイテムボックスに取り込む。
このアイテムボックスにしても世間ではレアスキルと呼ばれるものらしいが、アキラ様の話では90階層以降は普通にスキル書としてドロップするらしい。
「この辺の魔石を売るだけでも一財産かぁ……」
デコピン一発で魔物を屠って、その魔石を拾いながらアキラ様がつぶやく。
「なぜ魔石を売らないんですか?」
「……むやみやたらに売っていくと今は高純度な物は高価で希少だからクリーンエネルギーだのと平和なことに使っているけど安価に大量に扱いやすいエネルギーをばら撒くと次は兵器転用とか危ないことに使い始めるだろうからね」
なるほど。確かに今の現状であれば私の知識と、この魔石1つで大国の1つ2つなら簡単に滅ぼせそうだ。
「人の成長を待つのですね?」
「うんうん、そういうこと、まぁ、僕は今の世界が好きだからね僕が変にちょっかいをかけて壊すつもりはないさ」
今の現状では確かに簡単に滅ぼせるが各国が知識を持ち、同等の力を手に入れたのなら簡単に防ぐこともできるだろう。アキラ様は世界に急激過ぎる変化を与えないように考えている。
しかし、そうなると私という存在は……。
「あぁ、勘違いしないように言っておくけどあくまでも僕が変にちょっかいをかけるつもりがないだけで、適度に世界に刺激を与えてくれる存在はむしろ歓迎しているよ」
「……っ! 期待に沿えるようにがんばります!」
「うん。がんばって」
なるほど、アキラ様が関われば急激過ぎる変化に世界が壊れる可能性があるから直接的にはなにかをするつもりもなく、私という存在はアキラ様が間接的に世界に関わるためのモノというわけだ。
私という存在はアキラ様のためにある……そう考えただけで体が歓喜に打ち震えた。
世界に刺激を与える……。このダンジョン攻略もおそらくその一環だろう。
アキラ様の話では第一段階のダンジョンを攻略した場合第二段階のダンジョンが出現するらしい。
私の役目は第二段階のダンジョンを出現させることとその攻略……。それは世界に刺激を与えるだろう。第二段階のダンジョンというものの出現も、そこで取れるドロップアイテム等も……。
「世界は刺激を与えられ変わっていく……」
「そう! どんな世界になるか……楽しみだなぁ」
ダンジョンによって変わり行く世界、それを見ることこそがきっと……アキラ様の娯楽なのだろう。私はそのために世界を壊さないように刺激を与える。
あぁ、私がアキラ様の代わりに世界に刺激を与えて楽しませて見せます。
だからどうかその笑顔をもっと見せてください。私の神様。
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