協力者/神様
「アキラ様。どうでしょう似合ってますか?」
「うんうん。いいと思うよ」
「ありがとうございます」
協力者探しを始めて3ヶ月。僕の前には白いワンピースを着た白髪褐色の少女。うんうん。ロマンがある。こういうの好きだよ。
「ダンジョンには慣れた?」
「はい。それにしてもダンジョンはもっと恐ろしいところだと思っていました」
「慣れればそうでも無いでしょ? 楽しんでいこう」
「はい!」
まぁ、僕が全力でサポートしてるんだし当然である。ネトゲで初心者をパワーレベリングするがごとくだ。
ちなみに彼女の名前はアルファ。名前も無き少女だったから僕が付けたのだけど正直拾った犬猫に名前を付ける感覚でつけてしまった。まぁ、喜んでいたようだから良いだろう。
「次は71階層だね。100階層まではサポートするからそれ以降は自分でがんばるんだよ?」
「はい……がんばらせていただきます! 必ずお役に立たせていただきます!」
うーん、別に役に立つ立たないはどうでもいいんだけど。折角やる気になってるんだし水を差すのも悪いよな。
「うん。期待してる」
とりあえず、日本人らしく愛想笑いをしておく。
私が生まれた場所は今から考えると地獄だった。両親は小さな頃に死に、どうにか必死に生きていた。
私の世界は常に銃声と爆発音と怒声と暴力と血に満ちた世界だった。
いつ死ぬかも分からない日常。雑草を食べ、木の根をかじり、地面に落ちたひとかけらのパンを奪い合う。そんな日常。
そんな日常が変わったのは、空腹から地雷が埋められた危険地帯に入った日だ。
誰も近づかないその場所には雑草が生えている。私は飢えを満たすためにそんな場所に近づき見事に地雷を踏み抜き、何がおきたのかも分からずに倒れた。
あまりの痛みに何度も意識を失っては覚醒を繰り返し、早く死にたいと願ったときだった。
……私の神様が現れたのは。
その神様は見たこともないほどとても綺麗な人だった。黒い髪なのに光を反射してキラキラと輝いていて夜空のようだと思った。着ている物も綺麗なものばかりで此処にいる誰よりもきっとお金もちなんだと思った。
傷一つない綺麗な白い手が私に触れた瞬間。痛みがすべて無くなり、体が楽になった。
「生きたいかい?」
「あ……う」
どうにか頷こうとしたが、痛みも無くなって体も楽になったのに動けない。
「大丈夫。分かった。もしよかったらだけど、僕と一緒に来て協力をしてくれないか?」
一緒に……? 協力? 私は神様に選ばれたのだろうか? 兵士の人が言っていた。
選ばれたもののみが、神様の元に行けて、そこでは神様と一緒に暮らせて、永遠の幸せが約束されてるって……。
「行きたい……」
「うん」
神様は私の言葉に頷いて、1つのビンを取り出すとその中身を私に振りかけた。そこで私の意識は一度途絶える。