[勇者/奈落]勇者は友を助ける為、その力を更に磨く。友は低く、低く、ただ低く
響也は、聖剣を振るう。
その剣筋は光を放ち、10レベル以上も差があるアイアンゴーレムを、容易く傷つけた。
ゴオオオオオ
ゴーレムが唸り、傷を修復する。
「響也、補助するよ!」
耀が、ディヴァインシャープネスの魔法を行使。
響也の聖剣が更に輝きを増す。
「くらえ!」
息をつかせぬ連続攻撃。
アイアンゴーレムがどんどん傷つけられていく。
「そこ」
冥利がダークボルトを行使。
無数の闇がアイアンゴーレムに突き刺さる。
「ふんっ!」
光輝の一撃が、アイアンゴーレムの腕を斬り飛ばした。
「とどめだ!」
響也の攻撃が、アイアンゴーレムのコアを貫いた。
そのまま動かなくなる。
「ふう・・・まだまだ余裕が有るな」
響也が言う。
「でも・・・まだ王女の手先には敵わない。最近は、気配を悟る事すら難しくなってきた・・・」
麟が言う。
「そうだな・・・王女が、かなりの数を、彰一の監視に割いているのは確かだろう。俺達は一刻も早く強くなって、彰一を助けなければ・・・俺達はいいペースで成長出来ている」
「・・・ん?」
光輝がきょとん、として首を傾げる。
「どうした、光輝」
響也が不思議に思って尋ねる。
「お前達、彰一を助けよう・・・とか言ってるのか?」
・・・また光輝は人の話を聞いていなかったようだ。
外行ってる事多いから仕方ないのかもしれないが・・・
「そうだよ、俺達は職業に恵まれてるし・・・きっとすぐに王女の手先に対抗出来るようになると思うんだ」
「いや・・・」
言いにくそうにする光輝。
「どうしたんだ?」
「いや・・・だってな・・・俺達、6階層で苦戦してるんだぜ?」
「苦戦はしてないだろ?余裕を持って倒せているじゃないか」
光輝はぽりぽり、と頬をかくと、
「酒場で聞いた話だと、彰一達、15階層で乱獲してたらしいぞ?」
・・・え?
目だけ動かすと、他のメンバーも動きを止めている。
15階層で乱獲・・・え・・・?
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「ショーイチ、また来たよ!」
イヴが叫ぶ。
俺は挑発を行使し、キマイラを引きつける。
向こうからは・・・ソルジャースケルトンに、レイス。
不死だから挑発効かないんだよな・・・
キマイラを引き連れつつ、アンデッド連中を殴り付ける。
シュッ
ルナの矢が、ソルジャースケルトンを粉砕。
「消えて下さい!」
イヴの放ったレイが、レイスをかき消した。
「終わりだ」
リヴィアの放った炎が、キマイラを焼き尽くす。
ふむ・・・
「20階層でも意外といけるなあ・・・遠いのが面倒だ」
俺は、呆然とぼやいた。




