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[奈落]塩漬けクエストは厄介な事件に巻き込まれる危険性を秘めており

「このクエスト・・・受けていいですか?」


イヴが珍しく興味を持ったようだ。


「いいよ。どれどれ・・・」


彰一が覗き込む。


------------------------------------------------------------------

学校開設の手伝いを御願いします


依頼者:

 グレア


内容:

 授業で使用する薬草や機材の収集。

 詳細は直接お話しします。


報酬・・・

------------------------------------------------------------------


これは、詳細を聞いてから受けるかどうか決めていいタイプの依頼だ。

報酬は直接依頼者から受け取り、ギルドからは貢献度のみが付与される。


無論、ギルド発行の簡易契約書を使うので、依頼達成時に依頼者が渋ったりしたら、ギルドに報告が行くようになっている。

そんな事をする依頼者はいないので、安心していい。


発行日が結構古い。

塩漬けクエスト、という奴だろう。

・・・グレア、何処かで聞いたような。


「じゃあ行こうか」


くしゃ、とイヴの頭を撫でる。


「はい!」


イヴが嬉しそうに頷いた。


通りに出て、記載されていた建物に向かう。

立派な建物ではあるが・・・人通りは少ない、というか見ない。

道等が整備され、多人数の行き来ができるようになっているのに、この人の少なさは、かなりがっかり感がある。

周囲も、整備されているとは言えず、ゴミや落ち葉も落ちたままとなっている。


「これは・・・神教会・・・?」


ルナが愕然として言う。


「神教会って言うと・・・魔王に対抗してたって言う?」


俺が問うと、


「そうですね・・・そして、この惨状が恐らく、私が行った結果・・・」


イヴが、立派な建物を見上げて言う。


「ここは、神教会の中でも最高権威を持つ場所。私の生前は、絶えず人が行き交い、遠くまで人が溢れていました。魔王が出現していない時でもそうだったので・・・今のように、魔王が出現している時は、もっと凄い筈なのですが・・・」


「まあ、それ以外にも色々やらかしたのかもなあ。恨みも買ってたんだろうなあ」


俺が続けてやる。


イヴの頭をぽんぽんしながら、


「さ、さっさと依頼を聞くんだろ」


教会の中へと足を進めた。


--


「・・・老けましたね」


「な・・・貴方達いきなり何を!」


依頼主、グレアは、怒鳴る。

会うなり、思わずイヴが漏らした言葉に、怒ったようだ。


「あ・・・そう言うのではなくて・・・その!」


わたわた言い訳するイヴ。

可愛い。


「すみません、この依頼を見てきました。話を聞かせて頂けますか?」


誤魔化す。


「あ、依頼を見て来て下さった方で・・・というかさっきのは一体・・・」


困惑しながらも、こっちを見るグレア。


「皆さんもご存知の通り、我々聖教会は良く思われておりません。今のように、魔王が出現している時は、以前なら色々させて頂いていたのですが・・・残念ながら、あの悪魔に・・・」


「誰が悪魔ですか」


イヴが頬を膨らませて言う。

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