[勇者/奈落]発覚は暗殺者を呼び闇に踊る、そして夜の街に転がるは冷たき骸
耀と冥利は、無駄に騒いでしまった感を覚えつつ、城に帰還した。
兵士にちょっと驚かれた・・・探していましたよ、と。
みんなと合流。
他の人も、既に光輝から話を聞いているので、特に驚かない。
そして夕食の場。
何時ものように、王女と一緒に晩餐。
王女が、戻ってきた二人に満足しつつ、問いかける。
「二人とも良く戻ってきてくれました。彰一様に会いに行ったのですか?」
王女がにこにこしながら尋ねる。
・・・王女が出国許可証渡したとかいう嘘を言わなければ、ややこしくなかったのに・・・
「はい、会えました。元気にしていて良かったです」
耀がちょっとバツが悪そうに答える。
「・・・え?」
張り付いた笑顔のまま数瞬固まった後、声を絞り出す王女。
「え・・・え・・・?彰一・・・様と・・・会った?」
王女が尋ねる。
王女が何故固まるのか分からず、きょとんとする耀と冥利。
「確かに彰一と会った。ひょっとして、出国許可証の件?出国許可証貰ってないと言っていた」
冥利が思い当たって、言う。
「え・・・あ・・・ええ・・・そんな・・・はずは・・・」
王女は戸惑った後、席を立ち、
「すみません、ちょっと用事が出来ました。お先に失礼します」
怪しい様子で立ち去った。
「・・・一体・・・何だったんだろう・・・?」
夕食を終え、召喚者仲間だけで密談。
「王女の様子・・・変だったよね?」
麟が言う。
「可能性として考えられるのは・・・王女は彰一をやはり殺そうとしていて、彰一は何かの行き違いで逃がされた・・・?例えば、王女が指示を出された者が王女に背いて、嘘を伝えて逃がしたとか・・・?」
響也が言う。
「なるほど・・・そう考えると、王女が嘘をついた反応を出していたのも、さっきの反応も、納得出来る。やはり王女は悪・・・」
耀が頷く。
「彰一が危ない・・・彰一にこの事を伝えた方が良いかもしれない」
冥利が言う。
とは言え、昼間は比較的自由に出られるが、夜間の外出は難しい。
「彰一・・・無事でいて・・・」
耀が祈る・・・そして夜は深まっていく。
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裏路地。
襲撃して下さい、とでも言うべき場所。
そこに彰一達は、いた。
取り囲む暗殺者。
王女の手の者だ。
いずれも高レベル。
初級職、かつ、レベルがまだ2桁の彰一達には厳しい相手・・・
「何者だ」
彰一が問う。
相手は答えない。
無駄が一切ない、プロ。
「どうやって逃れた」
うちの一人が、話しかけてくる。
情報収集はしておく、かと言って、出来なければただ始末して去るだけだ。
「何の事だか・・・?ただ俺は王女様に支度金貰って遊んでるだけだぜ?」
彰一が言う。
「私はお前が殺され、アビスに棄てられるのを見た。話す気がないならそれでよい。もう迷うな。今度こそ殺してやる」
男が合図する。
他の者が一斉に動く。
「ショーイチ!」
彰一を庇ったリヴィアが胸を貫かれ、壁に叩きつけられる。
こぷ・・・
口から血が流れる。
当然、胸からも。
血溜りが広がり・・・
イヴが、ルナが・・・そして、彰一も首を切られ、地面に落ちる。
無駄のない動き。
静寂。
そして・・・
ゾゥッ
立ち去ろうとした男達の足が動かなくなる。
逃げる?
そんな事が出来るわけがない。
魔王、ラスボスから逃げられないのは・・・それは余りにも常識で。
リヴィアが、ゆっくりと立ち上がる。
つまらなさそうに。
化身からその魂が漏れ・・・男達は気付く。
自分が何を相手していたのか。
それは、この世界に住む者にとって余りにも有名な存在で・・・それは恐怖や力と同じ意味の言葉で・・・
魔王リヴィア。
そう、あの顔だ。
何故気付かなかったのか。
気付いていれば・・・人生の回顧等、有意義な時間を過ごせたかも知れないのに。
コウッ
リヴィアが放った光は、次の瞬間には男達を貫き、命を奪った。
そこには20の亡骸だけが並ぶ。
探索も兼ねていたので、王女の虎の子達大半だ。
それは、秒単位でもったかも怪しい。
ただ今はそこに倒れ伏す亡骸でしかない。
化身の自己蘇生と、自己修復。
数十分後、彰一達は起き上がって活動していた。
尚、化身が完全に消失しても、情報をロードして再度転送するだけだ。
別にどうと言うことはない。
勿論、死なないのが一番のリソース節約になるのだが。
「・・・この化身、早く鍛えないとなあ・・・」
彰一は、再確認するように、みんなに向けてぼやいた。




