[勇者]破れし再開の場と拒絶、そして帰還
「しょ・・・彰一?!」
耀は、驚きの声を上げた。
冥利も、呆然としている。
殺されたと思っていた彰一は、普通に酒場にいた。
そして、見た事もないくらいの美女達と、お酒を飲んで料理を食べている。
「おう、耀に冥利じゃないか。お前達もお使いか?」
彰一が気さくに話しかける。
「な、何で生きてるの?!王女に殺されたんじゃ?!」
「え、何でそんな事に?」
彰一が尋ねる。
耀が経緯を説明すると・・・
「おう。支度金貰って見送られたな。出国許可証は貰ってないから、その辺りは嘘だな。何故嘘を混ぜたのか」
彰一が言う。
まさか・・・出国許可証の所だけ嘘?!
耀ががっくりと膝をつく。
「ショーイチの、知り合いですか?空いてる席に座って下さい」
一緒にいた美女の一人・・・魔族?が、着席を促す。
「適当につまんでいいですよ。もし追加で欲しい物があれば頼みますよ?」
エルフの美青年・・・いや、美女?が言う。
耀と冥利が、席に着く。
「初めまして。私は白襟耀と言います」
耀が挨拶する。
「黒崎冥利です」
続いて、冥利も挨拶する。
「ヒカリちゃんに、ミョウリちゃんですね。私はイヴ。初めまして」
イヴがにっこり笑って挨拶する。
「私はルナです」
メニューを渡しながら言う、ルナ。
「俺はリヴィアだぜ」
豪快にリヴィアが言う。
「ショーイチの知り合い、と言う事は、貴方達は異世界の方ですか?」
ルナが尋ねてくる。
異世界召喚の事を伝えてあるのか、少し驚く耀。
「そうですね・・・みなさんはどういう・・・?」
彰一とどんな関係なのか、詰め寄りたい気持ちを抑えつつ、耀が聞く。
「冒険者仲間、ですね。意気投合して、パーティーを組んでいるんです」
ルナがにっこり言う。
・・・なるほど・・・確かにそれしかなさそうだ。
男女比がおかしいPTだが、そう言うこともあるのだろう。
「な、なるほど・・・」
むしろこれはチャンスでは、自分もそのPTに入れて貰って・・・耀が考えるが・・・
「私はショーイチの妻ですけどね」
イヴがぽそっと言う。
「つ、妻?!」
冥利が呻く。
「はい」
イヴが微笑んで言う。
・・・数日で何があったの?!
耀と冥利は混乱する。
「まあ、俺達は職業にも特異スキルにも恵まれてないからな。細々とやるさ。初級ダンジョンに潜って、下級クエストを達成して、徐々にギルドランクを上げる・・・そうやって少しずつ成長するよ」
彰一が二人に言う。
「私も・・・私達も、同じPTで・・・!」
耀が言うと、
「いや、それは無理じゃないか?あんたら、ホワイトビショップにダークセージだろ?冒険者ギルドに登録するような職業じゃないし、もし登録したら最初からAランクは固いだろ。俺達はEランクだぜ?」
そう、転生者の多くは、この世界の平均的な人より、圧倒的に優れた力を持つ。
特に、固有スキルや職業は、規格外の物を持っている事が多い。
「城に帰って訓練される事をお勧めします」
イヴが困ったように、二人に言った。




