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パン、とルナが手を打つ。
「まあ、生前の話をしても仕方ありません。残してきた同胞、エルフの事が気がかりですが・・・それはそれ、です」
ルナがにっこり微笑むと、
「イヴ殿、時々作っておられた、でざーと、というのを作ってくれませんか?」
「あ、うん。いいよ。何がいい?」
「こうちゃ、と、すこーん、と、じゃむ。あとはくっきー、が食べたいですね」
「はーぃ」
イヴが厨房へと駆けていく。
・・・何か・・・話す必要が・・・
「ちょっとコンソール見せて貰いますね」
ルナがすっと立って、コンソールを操作し始める。
凄い、手の動きが見えない。
どう見ても初めて触った人の手じゃない。
各種モニターっぽい数字とか、色々見ている。
「ふむ・・・まず、アビス全体の情報量ですが・・・何故か、着実に減っているようですね」
俺の頭に、何時か出会ったアイツらが思い浮かぶ。
ダンジョンを食べるナニカ。
「あいつら、かなあ」
「あいつら?」
イヴが気になったのかこっちを覗いていたので、厨房に移動して、イヴの傍で会話を再開。
「ああ、ダンジョンを歩いていると稀に会う変な奴らで・・・ダンジョンをひたすら食べている。この前リヴィアが攻撃された事があって、その時はリヴィアのレベルがごっそり持って行かれた」
「・・・そんな存在は、私の生前の調査では知りませんでした。アビスの情報量が全体的に少しずつ減る、のは気付いていたのですが、それは世界の欠陥、という存在があるからだと考えていました・・・そう言えば、私が生前計算した減少量より遥かに減る速度が速いような・・・」
「世界の欠陥?」
「はい。変な存在・・・仮称、アビスワームの存在を知らなかったので、アビスには外に通じる穴が空いていて、着実に情報量が減ると考えていました・・・そして、魔王とは、アビスが情報を求め外界に干渉した結果だと結論していました。だからだいたい300年周期と。実際、古文書にも、世界の欠陥の情報はあったので」
「ふむ・・・少なくともアビスワームは世界を食べてそうだった。その世界の欠陥というのがあるのかどうかは分からないけど・・・あるいは両方の影響かもしれない。何にせよ、アビスの情報は減る方向にある、のか」
「はい・・・そして、アビスは世界を支える土台。アビスが崩れたら、外の世界は維持できない。その者が持つ因果、が情報量となってアビスに還元されるので・・・世界を救った英雄とか、悲劇の魔王、等は、高い情報量を持つのです。だからこそ私は、ここに取り込まれてから長くても、存在を保っていたのでしょう」
「・・・そうなるとリヴィアも・・・?」
「それは・・・私の口からは言えません」
ルナが知っている、と言う事は、ルナより昔の魔王だったのかもしれない。
「できたよ!」
イヴがお菓子と紅茶を運んでくる。
「有り難う、イヴ」
「有り難うございます、イヴ殿」
うむ、美味い。
「それと・・・さっきコンソール見ていたのですが・・・私の情報量は、生来の50%、イヴ殿で75%、リヴィア殿は30%でした。リヴィア殿も、50%になれば会話ができる可能性があります」
ルナが言う。
「後少し、なのかな」
俺が言うと、
「攻略頑張らないとね」
イヴがうんうん、と頷いた。
俺はすっとダンジョンを見て、
「とりあえず・・・また明日から頑張ろう。レベル上げと、ダンジョン攻略」
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IM:約3.3千億→約3.3千億
その他:
早くリヴィアを・・・
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