表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/55

0000/0000/0000/0001

嫌だ・・・死にたくない・・・!


上が、下が、分からない。落とされた後、僅かな狭間。中央の渦。あそこに入ると、死ぬ・・・いや、死ぬより恐ろしい事になる。それが何故かはっきり予想できた。そんな渦。とっさにスキルを使う。スキルの名は・・・じばく。勿論、何の解決にもならない。だが、自分にはそのスキルしかない。だから・・・とにかく使う。唯一の選択肢。


自分の体が膨れる感覚?そして、意識が遠くなり。


--


目が覚めたら、自分は地面に座っていた。目の前には渦。数メートル離れた後ろには、壁。円形の空間。天井は、見えない。壁も、虚無が流れているような不思議な構造。自分はそこから出てきたと思う。


近くには、目標にした岩。自分が、その岩と繋がっている感覚がある。なるほど、納得した。


自分のスキル、じばく、これは、『自爆』ではない。『自縛』なのだろう。『自縛』で、自分と岩を結びつけたのだ。それで助かった。渦からは凄まじい吸引力を感じるが、岩と力強く結びついている為、吸引の概念を無効化している感じだ。


自分は、少し前まで日本にいた。所謂異世界召喚という奴だ。このあたり、特筆すべき内容はない。と言っても、いきなりここに来たわけではない。


集団で召喚され、ステータスを見る。周りが聖女や勇者、聖騎士、賢者、ステータスも高く、成長スキルもある・・・の中、異世界の人より弱いステータス、レベルは1、スキルは『じばく』のみ。そんな存在が来たらどうなるか。


夜、王女とやらが部屋を訪ねてきた。一緒に召喚された奴から気をつけろと言われていたし、自分も警戒はしていた。が、自分のステータスで対抗できる物ではないし、王女の手の者は非常に手慣れていた。闇の仕事に従事しているのだろう。あっさり捕まり。召喚の間の奥、廃棄穴、と呼ばれる存在。そこに棄てられたのだ。


残念、俺の冒険はそこで終わってしまった。で、先程悪あがきした結果、首の皮一枚繋がった感じだ。恐らく、この世界からは出られない。そういう空間なのだろう。最初に感じた通り、あの渦に入ったら終わりだと思う。


日本では、まあ、普通。さっきまでいた世界では、最弱だったかもしれない。そして今は、世界最強と言っても良いのではないだろうか。この世界には恐らく、自分しかいないのだから。


「ステータスオープン」


ステータスが表示される。


特筆すべきステータスはない。非常に低い。


HP:7/12


HPが減っている。これが0になると死んでしまうらしい。先程落ちたからだろうか。それとも暗殺者にやられたのか。


IM :10


見慣れない表記が一番上に増えている。こんなの説明になかったとお思うけど。というかさっきの世界で見ていたときには無かったと思う。


ふと岩を見ると、コンソールが出現している。ハイテクだ。操作すると、色々なアイテムやスキル、ステータス増強まで色々できるようだ。職業に就く事もできるらしい。無職の俺でも色々なれるのか・・・で、右側に書かれた数字。1,000 IM、200,000 IM、・・・なるほど、この為の数字か。今は全部赤くなっている。


HP:9/12


徐々にHPは回復するようだ。だが・・・徐々にお腹が減ってきた気がする。これは、お腹が減ると詰むんじゃないだろうか。


ふと中央の渦を見ると、一箇所扉がある。さっきあったかな?


扉には文字が書かれていた。


+++++++++++++++++++

現在0階層までクリアしました。

1階層から開始します。

+++++++++++++++++++


入ってみよう。虎穴に入らずんば虎子を得ず、という奴だ。


そして入った先は・・・岩があちらこちらにある、崖。入ったとたん扉は消えた。空を見上げるといい天気だ。どういう空間なのか。元の世界に帰れた訳ではないと思う。


岩陰からゴブリンがこちらを狙っている。やってやる。こちらは素手だが、人間を舐めるな。窮鼠猫を噛むって奴だ。ゴブリンに向かって走る。ゴブリンの矢がこちらを射貫く。


痛い!意識が飛びそうになる。ゴブリンの次の矢が正確にこちらの眉間を射貫き・・・


--


気がつくと、自分は地面に寝ていた。目の前には渦。数メートル離れた後ろには、壁。円形の空間。そして近くに岩。服には血の跡があるが、傷はない。


HP:1/12


HPが減っている。恐らく自分は死に、この岩との繋がりで引き戻されたのだ。・・・よええ・・・


IM :4


IMが減っている、これがなくなるとどうなるんだろ・・・とりあえずリトライするか・・・HP全快まで休みたい気もするが、お腹が減ると更に不味い気がする。6くらいでリトライする。


次に入った場所は、草原だった。毎回場所が変わるのか。遠くに見える、リザードマン。とりあえず逃げないと。あ、向こうの方が早い。気付かれたら終わり・・・ああ・・・切られ・・・


岩の傍。


IM:1


恐らく、IMが半減した後、1引く・・・または、レベル合計を引く、とかじゃないだろうか。自分のレベルは1だしな。そして分かるのは。恐らく次に死んだ時、自分は消えてしまう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ