仲介料の適正価格は?
どの国にも中立の立場をとる以上、ギルドは寄付を受け取れません。なので、黒字運営であることが必要になります。
ギルドの主な収益は依頼の仲介料や手数料、という作品が多いですね。併設された店を割高にしたり素材の買い取り額から天引きするのも良いですが、テンプレでは主人公の財布に直接手を突っ込むようなことなので採用できません。
まあ、仲介料にしても間接的に冒険者の取り分を奪っていることには変わらないので、あんまり作中では触れられない話でしょうね。「依頼書に書かれているのは仲介料として10%を差し引いた金額になります」という台詞を聞くと、「ギルド運営のことも考えているのか」と感心する反面、「冒険者は知らなくても困らない情報なんだよなぁ……」と呆れている自分が居ます。「俺らの金を横取りするな」と誰のためにギルドが金を集めているのか理解していない馬鹿にキレられる危険がある言葉をわざわざ言う必要はないでしょう。
依頼書に書かれた報酬の額は仲介料が引かれた後の数字であることを考えると、「薬草採取、一束100G」なんて依頼を出すときに依頼者が払うべき金額は……物凄く汚い数になりますね。
依頼者が支払うべき金額は「(報酬の額)×100÷(100-仲介料の割合)」です。もし報酬が100Gで仲介料の割合が10%の依頼ならば、依頼者が払わなければならないのは100×100÷90で111.1Gになります。
……ギルドは一々こんな計算をしているんですね。10万Gの依頼を出すときにも依頼者は一円まできっちり払わなきゃならないんですね。
仲介料10%って、良心的なようで誰も得しない値段設定だったんですね……
仲介料をとる場合、20%以外に選べる選択肢はほとんど無いようです。
20%なら125Gと辛うじて整数に収まります。どれだけ桁や増やしても5の後ろに0が増えるだけです。それが30%になると142.857142857Gという悲惨な数字になり、40%でも166.6Gと永遠に割り切れない数字になります。50%なら200G……計算は楽ですがもう完全に暴利ですね。
ギルドの運営について考えるのは、ギルドの裏方からの視点がある作品のときだけにしましょう。
物語の進行には何の問題もありませんし、生半可な気持ちでそれっぽさを漂わせる言葉を入れると、10%の罠に引っかかりかねません。