外田 直澄という男
やってしまった…
反省はしている。
後悔もしている。
(確か…今日はエロゲの配達日だったな)
そんな事を考えた、○ロネコさんを待つ男の名は外田 寛澄 (そとだ ひろすみ)24歳
寛という字があるにも関わらず、寛容ではなく、(心の狭さは猫の額)
澄という字が霞むほど腹黒い(黒いというより汚い)
性欲は有り余っている。
外見は醜悪。
その外見と言動で付いた渾名はゲス野郎。
そんな彼は、流行りのNEETに転職中。
まさに天職。労働時間ホワイト お先ブラック
だけどやめられない止まらない。
家族は彼を入れて五人。父親は外資系に勤務 母親は有名女優。姉はキャリア官僚で、
妹は売れっ子アイドル。
顔も頭も良くない寛澄は彼等にとって恥そのモノ。
ラノベ小説ならばテンプレ宜しく、寛澄は居ない存在にされているだろう。
事実、彼は生まれた時からそう扱われたし、名字も母方の祖父母のもの。
普通の人ならば、こんな家庭で育てば負け犬根性が染み付くだろう。
しかし彼は違った。
彼は生まれながらのゲスであった。
(あいつらを苦しませる為に生きてやろう)
やられたらヤり返す。しかし、まだその時ではない。心は狭いが目標達成の為の忍耐力は異常であった。
それまでは、ゲスい事をやり続け、目標達成への準備とした。
苦労が報われたのは高校一年の時。
不正をネタに父親を強請り、言う事を聞かせた。この親父、あろうことか会社の金を横領していたのだった。
母親は若い男とホテルから出て来たところをパシャり。
姉は政治家の愛人をしていたので、マスコミにバラすと言ったら大人しくなった。
妹は枕をしていたので、それをネタにした。
今では彼のオ○ホ替わりだ。
今日、彼等は寛澄のATMと化していた。
(うわ、このエロゲ、エロ過ぎだろ。もう三十五回はヌイたぞ。クソッ。何で妹はツアーなんてしてるんだよ。そんな暇があったら俺の下の世話をしろよ!)
自己中心的な憤りを椅子にぶつけ、勢いよく立ち上がった瞬間、彼は立ち眩みを感じた。
(…少しヤリ過ぎたか?)
まあ、横になれば良くなるだろう。と思った彼は特に気にする事もなく、ベッドに倒れこんだ。
彼が憶えているのはそこまでだった。
「先生…文才が欲しいです」