銃&ガンブレード
影山を国の切り札と勘違いしていた店長は、彼の配信を見たあとなので、その誤解は1日で解けることとなった。
しかしダンジョン配信好きの彼は、透視スキルの壁破壊によってすっかり胸をときめかせたようで、従業員に影山をおススメしたりしたのだが……当然、そんなことを本人は知らないまま、来店した。
試し撃ちならば問題ないということで、シューティングエリアで銃とガンブレードを撃ってみることにした。
店長の目がファンのごとくキラキラとしていたので、影山は不思議な気分だ。
「さて、と」
気を取り直し、白い台の上へ置いた拳銃を手に取る。
赤を基調とした、SF映画に出てきそうなデザインの銃だ。
生産系スキル「鍛冶」によって作られた探索者向けの銃は、魔力を銃弾にする。
一発発射するたびに、MPを消費するので攻撃魔法のような性質だ。
「……」
見よう見まねのフォームで、両腕を伸ばし拳銃を構える。
引き金を引く。
20メートルほど離れた、白黒の的に命中した。
ダンジョン産の素材なので頑丈だ。
そして青い魔力の弾は、5つある的のエリアの、一番右端に当たった。
真ん中を狙ったが、そのようにはいかない。的に当たったとはいえ、かなりのズレだ。
魔力の弾は風の影響を受けないが、撃つ時の衝撃はある。
その後も何発か撃つ。10発中、的に当たったのは8発。中央への命中はゼロだ。
射撃はこんなに難しいのかと痛感する。
「……透視、起動」
撃ちはしないが、スキルは試しに発動させる。
的の中央が青く光る。
光は点で、ゴルフボールぐらいの小さなものであった。
(難しそうだな……)
「お客様」
「うわあ!? い、いたんですか」
いつの間にか背後で見ていた店長に、影山は思わず驚いた。
「ハンドバズーカを試してみてはどうですか?」
店長の手に握られたのは、拳銃よりも大きな武器。
メガホンのように銃身が大きい、ハンドバズーカであった。
こんなものをぶっ放しても、あの的は平気なようだ。
「あ、ありがとうございます……」
なぜこの店長は見ているのだろうか。
なぜこのハンドバズーカをすすめてきたのか。
疑問に思いながらも、試し撃ち。
先ほどとは比べ物にならないほど、デカい球が放出され、高威力の弾丸が的を襲った。ずどおおおんっ! と辺りが軽く震動する。
「すご……」
これだけデカい弾なら、透視で当たる。
どんな“点”なのだろうかと、スキルを発動させた。
しかし……。
(あれ?)
クールタイムの20秒を経過し、発動させても透視スキルが起動しない。
何度やっても同じであった。
……どうやら、大きな範囲の攻撃に対しては、透視スキルの効果外となるようだ。
(残念だけどしょうがない……)
ハンドバズーカを置く。
そして次は、ガンブレードだ。
刃の部分が黒く、銃の部分は青色でデザインされている。
構えて、撃つ。銃よりどっしりしていて、やや撃ちづらい印象があった。
しかし銃身が剣になっているので、近接戦も対応出来るだろう。
透視スキルを発動させると、的に丸い点と線が同時に描かれる。
(なるほど……遠距離、近距離両方からスキルを活かせるのは、ガンブレードだけか)
理論的には、一番相性が良いように思えた。
ただ銃の腕前が完全に初心者なので、ゴルフボールサイズの“点”に当てるのはかなり難しそうだ。
ましてや実践では、敵が動いている。
「店長」
「はい!」
せっかく近くにいるので、店長に声をかける。
「このガンブレードを買います」
「はい! ありがとうございます! 応援してます!」
(……応援???)
残念ながら、お値段は30万円。
これでも一番安い物を選んだ。
大体の武器は、安物なら10万前後。
ガンブレードはマイナーな武器なので、安いモデルはないようだ。
社員時代のコツコツ貯金が、悲し気に減ったのであった。




