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31.ゼロフォーは本質的にゼロフォーなのだ-戦場に[たら、れば]はあり得ない-

全48話予定です


曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップします(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です


 ――レイドライバーはどうやって現れるのか。それともマスターの言った通り上陸は諦めるのか。


 会敵予想は明日か明後日だろうとされていた。レイドライバー部隊は首都から少し離れたところに陣取る形をとった。これは万一戦闘になった際に都市に被害が出ないようにする為である。まさに先の戦闘で帝国のレイドライバーが取った布陣である。


 今回の作戦に当り、ゼロフォーはカズから[二体の機体は最悪の場合は盾にしてもいい]と言われている。前回トリシャはこの話をされて自分の中で色々なものが巡って、最終的に敵将校の提案を丸呑みにするという[そそう]をしてしまった。


 ではゼロフォーはどうか。


 彼女の心にはいろが付き始めた。だが、それは作戦行動に障害となるものではない。ゼロフォーは本質的にゼロフォーなのだ。


 ――この布陣だとこちら側の機体に被害が出かねない。それはマスターも言っていた事だ。市街地戦は避けろと。その為に二体は被害が出てもいい、とも。私はマスターの命令に忠実であるべき存在、そしてマスターの命令は絶対だ。しかし、相手の出現方法が分からない。海はこうして封鎖がされている。陸という可能性は、共和国の中の飛び地のこの場所ではゼロだ。ならば、空から? 輸送機を使うつもりなのか。


 ゼロフォーは冷静に情勢を分析していた。彼女の脳には生体コンピューターが埋め込まれている。そしてこのコンピューターはとても優秀だ、何しろ思考しただけでその思考に関する情報を引っ張って来てくれる。そしてゼロフォーという機体は、単独で衛星回線に繋げることが出来る。つまり、ネット接続しているのである。そして無線も繋ごうと思えばいつだって繋げられる。


 カズはアルカテイル基地で待機する、と言っていた。[万一、帝国のレイドライバーが何某かの手段を使用して出現し、仮にも押されるような事になったらいつでも増援は出す、その為に輸送機を手配してある]とも言われている。ゼロフォーはそこから着想を得たのだ。


 ――確かに、こちらの兵装は対空火器は持っていないし、連れてきていない。せいぜいがレイドライバーの主力武器のマシンガンの弾倉を変更して炸薬散弾にするくらいか、艦隊からSAM(艦対空ミサイル)を撃ってもらうか。だがHALO降下(高高度降下低高度開傘)で来た場合は? おそらく撃ち落とすのは難しいだろう。だとすればやはり撃ち合いに、となるのだろう。問題は敵も経験者を寄越してくるだろう、という点だ。戦闘経験者であればある程度の撃ち合いの予測もつけやすくなる。回避だって考えられるだろう。そんな状態で私はどうすれば……。


 戦場に[たら、れば]はあり得ない。実際に戦闘があって、どちらが優勢で、どちらに軍配が上がるか、それだけである。


 更に言えば共和国だ。


 もしも仮に帝国が軍を送って来なかったら? その場合、共和国のレイドライバーは動くのだろうか。そう考えると色々な状況を練らないといけない。


 ――やはり帝国のレイドライバーは現れる、と考えた方がいい。その場合、おそらくはHALO降下でなければ理論的に矛盾している。いくら帝国でも無策で乗り込んでくるとは考えにくい。この地を同盟連合が先に占拠したのはもう伝わっているはず。


 ゼロフォーは武装を念の為、炸薬散弾に切り替えるように指示を出した。と、同時に直ぐに通常弾薬に戻せるようにも指示を出した。


 これで準備は万全、等というのは戦場では存在しない。あくまで用意していただけマシ、という話なのだ。


 そして戦場では運も関係してくる。どんなに不利な条件下でもあっさりと勝ってしまう事もあれば、圧倒的優位に立っていながら敗北、等というのもある。ある程度は配置、装備などの要素で決まって来るのだが、最終的には実際に戦って、終わってみないと分からない。特にそれが同格の相手であればなおさらである。


 そしてその瞬間はそんなに時間を空けずに襲ってきたのだ。


全48話予定です


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