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3.ああ、そうだ、話がまだ途中だったね-まだ疑問符は取れていないよね、つまりはだ-

全48話予定です


曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップします(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です


「ああ、そうだ、話がまだ途中だったね。きみたちにやってもらいたい事というのは何も廃棄されろ、と言っているんじゃあない。レイドライバーの存在は……知ってるか、それに乗ってもらいたいんだ」


 ログに戸惑いの文章が目立つ。


「戸惑うのは無理もない、いきなり呼ばれてレイドライバーに乗れ、と言われてもピンとこないよね。要するに、きみたちをレイドライバーのパイロットとに仕立てよう、という話なんだよ。もちろん、きみたちには操縦経験はないしその頭に付いている生体コンピューターには色々と制限をかけているから本来の性能は出し切っていない。それらを実戦的に持っていこうって話なんだ」


 やはりログには[私がパイロット?]とか[私は死にに行くの?]といった疑問が並ぶ。


 それらに、


「まだ疑問符は取れていないよね、つまりはだ」


 そう言ってカズは少しだけ現状を話した。


 世界情勢が少し緊迫していて戦争が少しずつ起きている事、その戦場にレイドライバーが現れている事、こちらにも被害が出て、純粋にレイドライバーの機体数が減っている事、そしてパイロットもサブプロセッサーも不足している事。


 それらを話し終えたうえで、


「もしこの実験の被験者になってくれるというのであれば、きみたちを殺処分はしないと確約しよう。もちろん敵と交戦して負傷したらその限りではないけど、安に見捨てたりはしないとも約束しよう。そうだ、見えていないから分からないかもしれないけど、今きみたちは二人いるんだ。そして二人に話をしている」


 あえて二個とは呼ばずに二人と呼んだのは、言葉を選んでいる証拠だ。ログを見ながらの話し合いをしている、その中で出たカズの[誘導]の一環なのだ。


 ――こんなところで敵意を出されても、ね。


 ログは疑問形から戸惑いに代わっていく。カズはその変化を見逃さなかった。


「もちろんきみたちは軍事教練を積んでいる訳じゃあないのは知っている。軍隊のイロハも分からないと思う。それに関して言えばそんなに心配はいらない。現在の技術はね、きみたちのお陰て飛躍的に発展したんだよ。我々が[アップデート]と呼んでいる作業をすれば即戦力たり得ると判断したんだ」


 そこまで話をして[何か質問は?]と問う。すると、


「実験のあとは戦地に行けと?」


 一人がそう言う。


「そう、それがきみたちが生き残る条件だ。もちろん戦地に言って好き勝手されても困る、その辺りは……ああ、知っているね」


 生体コンピューターを使用して思考制御の実験もしていた事をカズは思い出したのだ。


「で、これも知っているかもしれないけど、きみたちが今何を考えているか、というのはこちらからモニタリングできる。まぁ、反乱の可能性を疑っている訳じゃあないけど、きみたちの一挙手一投足はすべてモニタリングされている、と」


 そこまで言ってカズは少し黙る。もちろんモニターをチェックしながらだ。ログには困惑と諦めと、少しの希望が出ていた。


 ――そう、そこで希望を持ってもらわないといけないんだ。


 カズはアイザックの持っているノートパソコンを操作する。それは感情面に働きかける操作だ。感情を気が付かれない程度に肯定的に操作する、そうすると[ああ、自分たちはまだ生きていられるんだ]という気持ちになるのである。そこでネガティブになられては、仮にどちらに転んだにせよ兵器にされるとはいえ、そのあとのモチベーションが変わって来る。離反の可能性だって低くなる。


 カズはそうやって[自分で考えて兵器になる]道へと誘導しているのである。


「私たちは、廃棄されないのですか?」


 そう返って来た言葉に、


「廃棄するならとっくにしているよ。きみたちでしか出来ない事だからこうして話をしているんだ」


 ログは徐々に肯定的な文章へと変わっていく。この辺りはカズの得意分野、といってもいいかも知れない。無意識に自分の思った方向へ相手を誘導する。相手には誘導と捉えられずに、だ。


「それに、今までよりは娯楽なんかも与えられる。流石に自由な振る舞い、とはならないかも知れないけど、それくらいはね」


 その言葉が決定打になったのだろう、二人ともレイドライバーに乗る事に[自ら]同意したのだ。


全48話予定です


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