15.レイドライバーに、ですか?-まず順を追って説明するね-
全48話予定です
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「レイドライバーに、ですか? パイロットは?」
当然だ、疑問符しかつかない。それに対してカズは、
「まず順を追って説明するね」
カズの言うレイドライバーに乗る、それはゼロフォー単体を搭載する、というものなのだ。もちろん各所に設置されている[子供]の部品、これも配置する。ベアリングの相手はマリアーナだ。
今回、ただ単に搭載されるのとの違いは、ゼロフォーの[子供]の部品である子宮をパイロットの代わりとして置くというものだ。それにはゼロフォー単独の遺伝子で作る事がまだ難しい。そこで、マリアーナの遺伝子を拝借して作る。つまりはマリアーナとゼロフォーとの間の[子供]という事になる。そしてそれをコックピットのパイロットが座る位置に設置して、当のゼロフォーにはパイロットになってもらう、というものだ。
元々子宮の[部品]というものは存在しない。パイロットのを使用すればいいだけの話だから。逆に言えば、サブプロセッサーだけで単独行動させられない一因でもある。カズは、その子宮の完全体を作ろうというのだ。
「私が単独で、ですか?」
――それはあり得ない。
そう聞き返すのも無理はない、今まではマリアーナと一緒に搭乗という形をとってきた。それはどのレイドライバーにも言える。パイロットがいて、初めてサブプロセッサーが存在しうるのである。
「お恥ずかしながらこちらの見込み違いでね。本当なら二期生の中からもう少しパイロット候補を出す予定だったんだが、三八FIの件があってサブプロセッサーがより多く必要になったんだ。そしてその事情通りにサブプロセッサーを作っていくうちにパイロット不足になった、と。正直、これは失敗だったと思っている。情勢の変化についていけていなかったからね。だが、あと数か月すれば三期生が正式にあがって来る。それまでは……いいか」
カズはそう言うと今後のレイドライバーの補充予定について話した。三体、それが割り当てられる数量である。
「その三体に私が?」
とゼロフォーは聞く。
――なら補充は先の話、私は今から研究所で[保管]という扱いになるのだろうか。
それはゼロフォーでなくともそう考えて当然だ。
しかしながらカズの答えは違っていた。
「実はね、研究所には未配備の機体が一体、存在するんだ。パイロットもサブプロセッサーも目途がつかなくて、一応の補充用にと一体そのままにしてある機体がね。それにきみは乗ってもらう」
聞けばゼロファイブ、ゼロシックスを作る際のレイドライバーの補充も三体だったのだという。そこで前述の通り、操る人間がいなくなってしまったために保管されていたのだ。
「今は頭数か必要なんだ。そして、そこにただの頭数は必要ない。そこで、だ」
カズは研究所で廃棄予定だった二つのサブプロセッサーの話をした。そこで二体のレイドライバーを確保するという話も。そうすれば少なくとも頭数は揃えられる。そこで前述のカズの言葉だ。
[ただの頭数は必要ない]これはどういう意味か。
それはゼロフォーが二体の指揮を執る、という話なのだ。サブプロセッサー単体の部隊だけで戦場に出される可能性について触れているのである。
「ですが、私はもう人間ではありません。当然階級もないのですが」
というゼロフォーが呈する疑問ももっともだ。
それについては、
「これは階級制という形は採っていないんだ。きみが指揮官機、そして二体はその配下に収まる。そしてきみの上官はオレ、という事になる。もし仮に敵との会話になったらコードネームで名乗ればいい。相手に階級を示さなければならない、なんていう条約は無いのだから」
とカズが言うものの、実際は少し違う。努力義務なのだ。
――それはつまり、ほかのパイロットと同列に扱われる?
ゼロフォーは思っていた事をそのまま口にした。カズは、
「そう、その通り。だが、階級がない分、扱いはちょっと特殊かな。今回はそれも含めて実験をしようと思ってね」
――マスターのお役に立てるなら、何でもします。
ゼロフォーはそう心に誓うのである。
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