14.仲良く出来たみたいだね-そんな私が感情を抱いていいのでしょうか-
全48話予定です
私は挿絵は描けませんが曲ならなんとか作れたりします
という訳で、現在連載しているこの小説に曲を付けてみました
曲名は小説と同名の「レイドライバー」です
もしよろしければ一度聴いてみてください
↓Youtubeのリンクはこちら↓
https://youtu.be/N4ueViHp3SM
ちなみに他にもオリジナル曲をアップしています。もしもご興味がありましたら、ゼヒ聴いてみてください
↓以下が私のYoutubeチャンネルになります↓
https://youtube.com/@JohnD_72
曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップします(例外あり)
※特に告知していなければ毎日投稿です
ゼロフォーは直ぐに機体から降ろされて、専用のライトバンに乗せられる。もちろんそこにはカズの姿があった。
「仲良く出来たみたいだね」
カズは運転手に行先を伝えてからそうゼロフォーに語り掛ける。
「私は本当にこれで良かったのでしょうか? 感情というものは時に判断を鈍らせます。現に一度戦闘中に考え事をしてしまいました。あの時カル大尉がいなければ撃墜の可能性だってあった。そんな私が感情を抱いていいのでしょうか」
――感情なんて余地は本来、あるとそれだけ思考を鈍らせるもの。だったらそんなものは必要では……。
「必要ではない、と思うかい? 現にきみの心は揺れたようだ、それはログを見なくても分かる。カレルヴォ大尉の事が気になっているんだろ?」
カズは続けてそう聞いてくる。
そんなカズにゼロフォーは、
「これが恋、というものなのかは分かりません。ですが、心を揺さぶられるような感覚に陥ったのは事実です」
素直に感想を述べる。
「それが恋、というものさ。良かったじゃん、オレはいいと思うよ。ただし、みんなには内緒ね。パイロットは恋愛禁止、それもサブプロセッサーであればなおさらだから」
――感情、か。マスターの言う心に彩を、というのがこういう事なんでしょうね。これはマスターがくれたもの。なら享受しても、いいんですよね、マスター?
ゼロフォーは同時に、カレルヴォと離れるのが少し寂しい、とも感じていた。それは恋に落ちた人間のそれとよく似ている。もちろん、当の本人もそれは理解している。何と言ってもネット経由で色々な情報を得られるからだ。恋愛、というものがどんなものかくらいは知識として知っているつもりだ。
だが、知っているのと体験するのとでは全然違う。第一、情報量が段違いなのだ。よく[百聞は一見に如かず]というが、まさにそれである。
そんなゼロフォーにカズは、
「大丈夫、またいずれは一緒になる事も考えてある。きみたちはマッチングがとてもいいみたいだ。だが、きみはとても優秀なサブプロセッサーだ、だからちょっと今回の一件に必要な存在でもある」
そうカズは切り出した。
「私はこれからどのような配属になるのでしょうか? マリアはまだ動けないと思われますので、レイドライバーの運用に供されるのとは違うような気がするのですが。それとも何かの実験を受けるのでしょうか?」
――ヒトというのは不思議なもの。先が見えないものは不安に感じる。逆に先が見えれば逆境にだって立ち向かえる。
事実、それは正しいだろう。人は未来の予定が分かっているのと、まったく分からないのとではその対応が全然違うものになる。もちろん、生まれてから死ぬまでのロードマップがすべて分かっていたら多分、自我がなくなってしまうかも知れない。
この二つは相反しているようで実は同じものなのだ。人間、少し先が見えるくらいがちょうどいいのかも知れない。未来、それは誰も分からない旅物語なのだから。
すべての事象を認知してしまうと[つまらなく]なってしまうのだ。だからと言って一寸先も分からないようでは不安が募る。要は程度の問題なのだ。
「きみにして貰いたい事が出来たんだよ。このライトバンは研究所に向かっている」
カズは改めてそう言いなおした。行く先、それは研究所、その意味するのはやはり?
――やはり、何かの実験に供されるのでしょうか。私が未来を選べる訳ではないのは知っていますが。
これが不安、というものなのか。ゼロフォーはそう感じていた。それ程にゼロフォーの中で何かが変わっていってるのは事実である。
そんなゼロフォーの心情を知ってか知らすが、カズは、
「きみにはレイドライバーに乗ってもらいたいんだよ」
そう話した。
全48話予定です