12 神の使いか、災厄か
森の中に現れたのは、ギルドの調査隊だった。
彼らは事前に設置した追跡用の魔法陣を頼りに、この討伐現場へと足を運んでいた。
リーダーが地面に残る痕跡を調べながら、険しい表情で呟いた。
「やはりここでも魔物が討伐されている…透明な存在が関与しているとしか思えない」
別の隊員が、不安げに辺りを見回した。
「まるで神話に出てくる神の使いだ。こんな力を持った人間がいるとは思えない」
「神の使いだと? 馬鹿を言うな。
だが、この現場の状況を見る限り、ただの冒険者ではないのは確かだ」
リーダーは足跡一つない討伐跡を見つめながら、鋭い目つきで周囲を警戒した。
修羅は調査隊の気配を感じ取りながら、透明化を維持したまま動いていた。
彼らが自分の存在に気づいていないことを確認すると、静かに魔法陣を展開する。
「どうする? 奴らに干渉するか?」
神威が問いかける中、修羅は短く答えた。
「しない。ただ、狩りを邪魔されるのは面倒だな」
修羅が発動したのは、幻惑魔法だった。
調査隊の視界を曇らせ、感覚を混乱させることで、その場から自然と遠ざける策を講じた。
調査隊の隊員たちは突然、目の前に広がる景色が歪んだように感じた。
「リーダー、これは……何かの魔法か?」
「くそ、深入りするのは危険だ。一旦撤退!」
調査隊は痕跡を追うことを諦め、慎重にその場を後にした。
調査隊が去った後、修羅は術を解き、姿を現した。
静かに息を吐きながら、神威に語りかける。
「ギルドの動きが面倒になってきたな。次は、もっと静かな狩猟場を選ぶか」
神威の声が微かに笑みを含んで響く。
「静かでも、狩りの質を落とすつもりはあるまい。むしろ、お主の欲求が増しているようにも見えるぞ」
修羅は霊刃を握り直し、次なる狩猟場へと足を向けた。




