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第1話-5

さっきの男の声だ。声の方に目をやると全身銀の鎧を覆った姿があった。あれは銀聖騎士マスターソフィア様。王様の側近で最強の剣聖だ。姿勢を正し、片手を胸に添えて、深く丁寧に頭を下げる。マスターソフィア様は顔も頭もすべて銀色の冑に包まれている。三本の角と幾何学模様の造形が美しく芸術作品のようだ。鋭い目の形の部分には片方が赤、片方が緑でうっすらとしか目は見えない。表情は読み取れないが縦にゆっくりと頷き、顎でウォーロックを指した。

「御意」

剣を逆手に持ちウォーロックの額に突き刺し宝石をはがした。宝石が地面を転がる。宝石が取れるとウォーロックの目が消え、体はタダの岩の塊と化した。黄色い六角形の宝石をマスターソフィア様が拾う。

「よくやった。名は……ファルマー・オルレインか」

えっ?なぜ名前を?知っている感じではなかった。見たというか調べたというか。次にカイトとランを方を見た。

「カイト・ラインハルトとラン・ルビアンカ。火と光のギフトの持ち主か」

やはり見えているという感じだ。どういう仕組みかは分からないが、個人データが見られるようだ。

「ファルマー・オルレインは、ゲート騎士団に決まっているのか。ん?父は……?」

「はっ。父は、運命さだめを全うし死しております」

「そうか。それはゴッドウィルだ」

「ありがたき幸せ」

父はオレが小さい頃にロールの最中で大怪我をし、ロールができなくなった。役目が終わった運命さだめとして死して旅立った。またどこかで生まれ変わって、新しい役目をもらっていることだろう。運命さだめを全うしたことは「ゴッドウィル」なのだ。マスターソフィア様からゴッドウィルと声をかけていただけるなんて、父も喜んでいることだろう。

「さて、今日見たことはすべて忘れるんだ。絶対に他言するのでないぞ」

「はっ」

3人で膝をつき頭を下げる。聞きたいことはたくさんあった。でも聞いてはダメだと威圧に跳ね返された。

「マスターソフィア様、剣を」

膝をついたまま剣を両手で差し出す。シャーン。剣を腰に仕舞う音が夜の闇の中、響き渡った。マスターソフィア様は何も言わず、振り返る。シャン、シャン、シャン……マスターソフィア様の歩く音が徐々に小さくなり、消えた。

ゆっくりと立ち上がる。くっ。アバラが痛む。カイトがランを支え、立ち上がった。

「帰ろう」

「うん」

3人で肩を寄せて歩きはじめた。友の温もりを感じながら月の光を頼りに日常を求めて街へと帰った。

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