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第2話-7

 月がうっすらと顔を出している。もうすぐ今日の終わりを告げる夜がくる。試合を終えた200人が並ぶ。城から吹く風が戦った体と心を癒す。

「整列!敬礼!」

ザッ!一斉に敬礼する音が響き渡る。

「ただいまより剣の授与式をはじめる」

先輩の騎士団員が新人へ一斉に剣を授ける。一礼して受取り腰へと装着する。

「優勝者、ファルマー・オルレインは前に」

「はっ!」

敬礼してザックバード騎士団長の前へ立った。

「おめでとう」

差し出された剣を見て、息を飲んだ。その剣は、銀聖騎士マスターソフィア様からあの魔物が出た夜に借りた剣だったのだ。

「マスターソフィア様からお前にだ。きっとファルマー・オルレインが勝つだろうから授与式で渡してくれと頼まれた。本当に優勝するとはな」

ザックバード騎士団長がオレにだけ聞こえるように言った後、今度は全員に聞こえるように声を張り上げた。

「受け取れ!聖剣クレストソードだ」

オーとワーが入り混じった声が上がり、拍手で空気が揺れた。オレは剣を見つめしっかりと重さを実感した後、腰へと装着した。

「剣を天へ掲げよ!」

シャーーーン!ザックバード騎士団長の号令で、全員が一斉に剣を抜き天を差す。

「我らはこの身を世界の平和の為に捧げると、天へ誓う」

ザックバード騎士団長の横にいたオレは、200本の剣が天を差す光景を少し高い位置から見ることができた。剣が光を浴び、金と銀に煌びやかに輝いていた。この光景は一生忘れることはないだろう。

ザックバード騎士団長が剣を仕舞うのに合わせて全員も剣を仕舞った。シャン!シャーーーン!荘厳な音が街に響き渡る。

「これで皆、正式にゲート騎士団と認められた。その剣はマザーと連動している。マザーが剣を抜いていいと判断した時にしか抜けない。今まで式以外で剣を抜いたことはない。世界が平和という証だ。これからも剣が抜けないことを皆で祈ろう」

えっ?そうなんだ。剣に手を添えている左手でこっそりと抜いてみようとしたがピクリとも動かなかった。

「では、授与式を終わるとしよう。解散!」

ザッ!敬礼した後、静寂に包まれる。ザックバード騎士団長が背中を向けて歩き出した所で緊張の糸が切れ、楽しげな話声が広がった。

「よう!おめでとう。いいなその聖剣。もう少しだったのにな」

ロッテンハイムだ。

「お前には氷のロングソードがあるだろっ」

軽口をたたく。

「くそっ。今度こそあの剣で叩き斬ってやるよ」

思い出したけど、あの剣って当たってたら本当に切れてたよな……。

「あの剣ってマジで切れるんじゃないか?」

「ああ。スパっと切れるよ」

「おい!殺す気かよ!」

まぁまぁっとロッテンハイムが笑いながら肩をたたく。ロッテンハイムもこの勝負にかけていたのだろう。真剣勝負をしたからこそ仲が深まることがある。実力を知ったからこそ、背中を預けられる。そんな相手が見つかってよかった。何者になれるか分からずとも鍛え続けたこと。自分を信じたこと。これが実った1日となった。


第2話 完

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