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呪われし勇者の伝説シリーズ/ガーランドのモンスター図鑑「女王蟻」~勇者の見る夢2・闇の王より~ 作者:田中円
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序章

「・・・頑張れ・・・・・・。・・・頑張れぇ・・・・・・。」

煙草の燃えカスや、自分自身の血や膿みでどす黒く薄汚れた布団に全裸で包まって、彼女は武田鉄矢の『声援』という歌のフレーズを、口ずさんでいる。
それは昨日の夜、犯人達が彼女に暴行を加えた時に、カセットテープで流していた歌だ。

「頑張れ、頑張れ、頼む・・・頑張ってくれ。」

その十七才の女子高生は1989年の十一月の終わりに、レイプ目的で四人の、十六才から十八才までの不良少年達に拉致監禁され、死亡する一月四日までの四十一日間、彼らの仲間の不良少年達などと共にレイプされ、執拗に冷酷かつ残虐極まりない苛烈な暴行と凌辱を加えられ続けた。

「・・・頑張れ・・・頑張れ、・・・。」

その歌を流したのは、どんな暴行にも必死で耐える彼女に対して、犯人達が彼女にもっと暴行に耐えて自分たちを愉しませてくれよと、弄ぶ意味で流したものである。
彼らはその曲に合わせて、様々な暴行を彼女に行った。始めは、声を立てぬように座布団で顔をふさぎ、不良仲間達数人でレイプ。その行為に飽きると、性器の毛を剃り、尻の穴に火の点いた花火を突っ込み、性器に直径三センチの鉄の棒を出し入れし、ライターを入れ火をつけた。
彼女はその度に気絶し、髪の毛は抜けていった。

「・・・頑張れ・・・頑張れ・・・頼む頑張れ・・・頑張ってくれ・・・。」

車座になった犯人の少年達の真ん中で、オナニーショーをさせ、眉間に短くなったロウソクを立て、火をつける。犯人達は何かつまらないことがあると殴る蹴るの暴行を加え、シンナーでラリった振りをして、彼女をレイプした。ライターのオイルを太腿や膝、すねにたらして火をつけ、熱がって火を消そうとする彼女を、楽しんだ。痛さをこらえて、口が変な風に歪むのを見て、面白がった。

「・・・頑張れ、・・・頑張れ・・・頼む・・・頑張れ、頑張ってくれ・・・。」

小泉今日子の『なんてったってアイドル』の歌に乗せて全裸で踊らせ、歌にあわせてサンドバッグのように彼女を殴った。六キロの鉄アレイを腹に何度も落とし顔や大腿を殴りつけた。水の変わりに自分の尿を与え、ほとんど食事は与えなかった。

その監禁の事実は、百人を超えるその町の不良少年少女達が認識していたにも拘らず、誰一人警察に通報する者はいなかった。レイプに加わった一部の少年達は、何の罪に罰されることもなく、また一軒家の二階で行われた監禁行為に対し、同居しその事実を認識していた不良少年の両親も、不良少年の暴力を恐れ、無視を決め込んだ。
警察は犯人の目を盗んで110番通報した彼女の電話を、きちんと捜査せず、少年法は彼らに数年の実刑しか与えなかった。
メディアは被害者のみ、実名・写真入りで報じ、まるでミステリードラマのように連日面白がってこの犯罪を取り上げた。
インターネットの2chではこのニュースに興奮して、オナニーしたというような青少年達の書き込みや、犯人達をうらやむ書き込みも溢れた。
そして彼女は年の明けた一月四日死に、ドラム缶にコンクリート詰めにされ、東京湾岸の埋め立て地に放置された。その時、膣にはオロナミンCの瓶が二本押し込まれたままで、ガムテープでぐるぐる巻きにされ、体は皮下脂肪が半分に減り、髪の毛はほとんどなかった。

「・・・頑張れ、・・・頑張れ・・・頼む・・・頑張れ、頑張ってくれ・・・。」

頬は鼻の高さを超えるまで腫れ上がり、目の位置は陥没して分からず、全身にやけどの傷があり化膿し、膿みを流し続けていた。

「・・・頑張れ、・・・頑張れ・・・頼む・・・頑張れ、頑張ってくれ・・・。」

その歌のフレーズを、彼女は犯人達が出かけている間ずっと自分を勇気付ける為に口ずさんでいた。

「頑張れ・・・頑張れ・・・・・・。」

暴行の最中、彼女は「殺してくれ、殺してくれ」と犯人に涙ながらに絶叫した。彼らはそれを面白がり、彼女を玩具にして弄んだ。彼女は世界を呪いながら、死んでいった。

その事件のあった、綾瀬の町は、蠢きながらその日々の間も営みを続けていた。歯車が重なり、人が機械のように行動している。彼ら自身の目的だけしか目に入らない、それはまるで、アリ達のようだ。

この世界では、世界を呪いながら死んでいった人間は、モンスターとなって生まれ変わる。その呪いの怨念が強ければ強いほど、強大な力を持った異形のモンスターとなって。

彼女は卒業後の就職も決まりこれから夢に溢れる世界へと飛び立つ直前に、唐突に何の落ち度もなく、地獄へと叩き落されたのである。

波音の聞こえる、コンクリートの詰められたドラム缶の中でコポリと、彼女の死体が小さな音を立てた。
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