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『痛みで目を覚ました速記者』

作者: 成城速記部

 速記者が反訳中に、強い眠気に襲われてしまいました。無理もありません。この日は朝から六本も反訳していたのですから。もちろん、速記中に眠気に襲われることなどありません。陸上競技で走りながら寝る選手がいないのと同じです。馬が魚でないのとは違います。眠気に襲われたのは反訳中でした。言いわけですけど。

 速記シャープを逆さまにしてノックをすると、それはもう、痛いのです。もちろん、そのことによって速記者は目を覚ましたわけですが、この様子を見ていた非速記者が速記者を笑いました。速記者は、速記シャープから痛みを受けたことではなく、速記中や反訳中に速記シャープを逆さに持ったことを恥じました。



教訓:非難がましいことは言わない。


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