空へ、二人の旅立ち
悠斗は、仲間の武に電話をかけた。武は、飛行機の整備士で、悠斗と一緒に飛行機の操縦を習っていた。悠斗は、空飛ぶ魚と虹の谷の存在を武に打ち明けた。武は、信じられないと言いながらも、協力すると約束した。武は、飛行機を借りることができると言った。ただし、飛行機は小型で、2人しか乗れないし、少し古びていると言った。悠斗は、それでもいいと言った。武は、車で迎えに行くと言って、電話を切った。
悠斗は、美咲の手を握って、空港の出口に駆け出した。武は、車体に、傷や汚れが目立つ白いワゴン車に乗ってやってきた。車の窓を開けて、悠斗と美咲に手を振った。
窓から見える顔は、ポニーテールに、丸い黒縁の眼鏡をかけ、無精髭をはやしていた。
「やあ、悠斗。こちらは、美咲さんだね、初めまして、僕は、悠斗の飛行機仲間の武です。」武は、笑顔で美咲と、武を見て言った。
「初めまして、武さん。悠斗からいろいろとお話を聞いていました。よろしくお願いします。」美咲は、緊張しながらも礼儀正しく返事した。武は、美咲の笑顔に好感を持った。
武はにっこり笑って挨拶した。
「タケシさん、ありがとう。助かるよ。本当に」
「いやいや、どういたしまして。さあ、早く乗り込んで。飛行機は、近くの小さな飛行場にあるから。急がないと日が暮れるよ。」と、武は、悠斗の自転車を荷台に積み、言った。
美咲は、武が、油にまみれた緑のつなぎを着ていて、むさくるしいと感じたが、同時に頼もしさを感じた。期待と希望に胸が高鳴り、ワゴン車に乗り込んだ。
「お願いします。」
「しゅっぱーつ」
武は、エンジンをかけて、車を走らせた。悠斗と美咲は、後部座席に座った。車内には工具や部品が散らばっていた。武は、高速道路に乗って、倉庫が並ぶ工業地帯に向かった。しばらく走ると、一つの倉庫の前で、車を止めた。
「ここだよ。飛行機は、この倉庫の中にあるんだ。ちょっと古いけど、まだまだ元気な奴だから。」
武は、車から降りて、倉庫の扉を開けた。悠斗と美咲も、車から降りて、倉庫の中に入った。倉庫の中には、機体全体が青色の小型のプロペラ機があった。武は、飛行機の横に立って、悠斗と美咲に笑顔で言った。
「これが、飛行機だよ。どうだ、かっこいいだろう?僕が整備しているんだから、安心して乗ってくれ。」武は飛行機のボディーに手を当てて、得意げに言った
悠斗は武に感謝の言葉を述べた。「すごいよ。タケシさん、ありがとう。」
「いやいや、どういたしまして。でも、本当に鹿児島に行くのか?」武は、悠斗に顔を近づけ、尋ねた。
「美咲ちゃんは、空飛ぶ魚の島に行きたがってるんだ。僕は、それを叶えてあげたいんだ。」悠斗は、美咲を見つめながら、真剣に答えた。美咲は、悠斗の目をそらし、背を向けた。
美咲の目は、潤んでいた。
「ふーん、そうなんだ。それは、素敵な話だね。じゃあ、早く乗ろうか。飛行機は、もう準備できてるから。悠斗、操縦は大丈夫か?」武は、飛行機に乗り込むように促した。
二人は、飛行機に乗り込んだ。美咲は、飛行機の中を見まわし、操縦席の計器類に興味を持った。こんなので、空を飛ぶことを考えると、美咲は、少し不安になった。
「これが、飛行機の中なのね。いろんなメーターがあるけど、これって、全部必要なの?」美咲は、興味と不安から、悠斗の手を握ろうとした。が、自分が不安に思っていることを、悠斗に悟られまいと、明るい声で「楽しみ、もうすぐなのね」と言った。
悠斗は、飛行機の操縦は、まだ初心者だったが、操縦の仕方は熟知していた。飛行機に乗るのが初めてだった美咲に、悠斗は、笑顔で、安心させようとした。
「大丈夫だよ。僕が、連れてってあげるから。空飛ぶ魚の島に。」
「でも、大丈夫、あんまり、飛行機操縦したことがないんじゃあないの。」
「大丈夫だよ、飛行機の知識なら、誰にも負けないからさ。操縦なんて簡単なものだよ。本当だよ。信じてくれ。」
悠斗は、飛行機の操縦は、まだ初心者だったが、操縦の仕方は熟知していた。飛行機に乗るのが初めてだった美咲に笑顔で、安心させようとした。
「うん、信じる。悠斗君なら。」
美咲は、不安だったが、悠斗の自信ありげな表情を信じる事にした。
悠斗は、タケシに合図をした。タケシは、無線で、管制塔に飛行許可を求めた。管制塔は、飛行許可を出した。タケシは、悠斗に、飛行許可が出たことを伝えた。悠斗は、飛行機のエンジンをかけた。飛行機は、滑走路に向かった。滑走路に着くと、飛行機は、加速した。飛行機は、速度を上げて、地面から離れた。空に飛び立った。
「すごい! すごいよ、悠斗君!飛んでる。」美咲は、さっきまでの不安が嘘のように興奮して言った。
「見て、美咲ちゃん。あれが、僕たちの街だよ。」
「きれいだね。」
「ね。」
悠斗と美咲は、飛行機の窓から、街の景色を眺めた。街は、小さくなって、遠くになっていった。飛行機は、雲の上に出た。青い空と白い雲が、広がっていた。
ようやく、旅立つことが出来ました。飛行機は、無事たどり着けることができるのか。無事たどり着いちゃった方が、いいのかな。分かりません。