7人目・とある男爵令嬢〈プロローグ2〉
夕方、魔導具作成に行き詰まって休憩していたところ、ノックの音が聞こえた。
「どうぞ~」
声をかけると、いつもの連絡役の騎士君が入ってくる。
「申し訳ありません、魔道具士殿。今よろしいですか?」
「かまいませんよ、何か急ぎの要件でも?」
尋ねれば、騎士君が淡々と答える。
「いえ、私の方に急用が入りまして。明日予定していた打ち合わせを、今日行いたいのですが」
私は構わないけれど、騎士君は多忙だな。
「魔導具の進捗状況の件でいいですよね?」
「ええ、いかがですか?」
ざっとテーブルと片付け、魔導具を並べる。
「こちらはまだ始めたばかり。
こちらは試作に入ります。とりあえず5、6個ほど。
そちらは試行ができるようになりましたよ」
騎士君が淡々と肯く。
「試行は、私が戻るまで待ってください。貴女の魔導具は個性的なので」
個性的ねえ、物は言いようだけど。でもなあ、待つより、私で勝手に試行しちゃおうかな。
打ち合わせが終了する。いつものようにお茶に誘う。
「騎士殿、お茶を飲む時間はありますか?」
騎士君が少しためらって答える。
「せっかくですが、時間がなく」
おや?
「しばらくこちらに来られません。王都に行ってきます。代わりに女騎士を連絡役として残しますので」
さて、王都で何があったのか。
騎士君はそれを話すつもりはなさそうだけど。
騎士君がじっと私に視線を合わせる。
「念のため今一度、新作魔導具試行の件は、私が戻るまで待っていただけますね?」
……相変わらず真面目だな、騎士君は。
了承すれば、騎士君が一礼して去っていく。
その背中を見送りながら何となく思った、残念だなと。
打ち合わせの際、一緒にお茶を飲むのが当たり前になっていた。今日はそれが叶わなかった。
私はそれを残念に思うのか。
自分のことだけれど、不思議な感じだ。




