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6人目・とある伯爵令嬢〈エピローグ3〉
ヒロインちゃんが王立学園に来ることは防げなかった。
これは単にそれだけのことなのかしら、それとも、この世界がそれを望んでいるから?
貴重な聖属性の使い手として王立学園に着いてしまえば、さすがにこちらからは手が出せない。
わたくしにできるのは見守ることだけ。
さあ、彼女はどんなヒロインになるかしら。
皆が応援したくなるようなヒロインをやるもよし。
皆が打倒したくなるようなヒロインをやるもよし。
”あの”物語をなぞるもよし、はずれるもよし。
ヒロインは未知数。そして、ヒロインの吸引力は強い。
彼女を中心に、世界は形作られる。
彼女の望みを叶えるように、世界は形作られる。
ヒロインを中心とした世界で悪役令嬢が担う役割は、真にヒロインを成長させる者。
そして悪役令嬢は、ヒロインが存在しなければ成り立たない者。
つまり悪役令嬢は、ヒロインを気にする限り、役割に縛られてしまう。
だからこそ、ヒロインちゃんがどうとか、攻略対象者がどうとか、“あの”物語がどうとか、そんなことに関係なく。
エカテリーネ、あなたがあなたの物語の主人公にならなくては。
その時あなたは、どんな物語を選ぶかしら?
ヒロインちゃんが存在しようと、そうでなかろうと、あなたは何がしたいかしら?
そんな何かが、あなたにありますように。




